妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ37)

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第６.３６話　聞こえた声ページ37

「あの黄色い粉を吹きださせないようにしなくては」

そう言った時、
別の声が上から聞こえてきた。

「A、スネリ、無事か」

私が見上げると、黄色く変色したように
見える空から、もっけが下りてきた。

「こいつはすげぇな」

私はもっけに呪符を飛ばし、のませる。

「そうとうなエネルギーだ」

恐ろしそうに赤い実を睨む。
そんなもっけを見ながら、私は口を開いた。

「もっけ、どうしたら良いかわからないの。もえぎちゃんに
紅見草を助けるように言われたのに、このままじゃ、手がつけられない」

「……おいらはかすかだが、紅見草の言葉が聞こえる。
だから、もしかしたらおいらの声も伝えられるかもしれない」

少し考えてからそう言い始める。
その時、何故か私の様子をうかがう様に見た気がした。

「根気強く話しかけてみるよ。Aは、おいらを防御してくれ」

「わかった!」

言い終るや、もっけは飛びあがり、
丁度赤い実の真上に来ると旋回した。

赤い実はもっけを威嚇するように、真上に粒子を吹きだす。
私がジャンプし、もっけを取りこむと、もう一度結界を張った。

「おい、ちょっと聞いてくれ」

声を張り上げて言った。
しかし、赤い実からはなんの返事も返ってこない。

「おいらの声が聞こえないのか、紅見草さんよ」

もう一度声を張り上げて言うと、赤い実が一瞬攻撃を止めた。
それを見た私は、異変を感じて赤い実を凝視した。

「聞こえたのか?だったら、返事してくれ」

すると、かすかに細い声が返ってきた。

『お前は、だれ?』

私にもその声がかすかに聞こえて、少し目を見開いた。
あの時の片方の声と全く同じだ。

もっけの目がきらりと輝き、私に合図した。

「おいらは、もっけ。その昔
妖界に居たが、今は訳あってこの世界に居る妖怪だ」

『妖怪……? それが、私になんの用』

「あんたは紅見草の精霊なのか?」

『わたし……わたしは……紅見草の精霊……』