妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ36)

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第６.３５話　黄色い粒子の力ページ36

「息が……」

「A、結界を張るのよ!」

言うと同時に、私の足元に飛び込んできた。

「臨･兵･闘･者･皆･陣･裂･在･前」

九通りの印を結んで結界を張ると、
黄色い粉を跳ね返した。

「防御出来ても、どうしたら良いのか……」

私は、もえぎちゃんに紅見草を助けるように言われたんだ。
攻撃は出来ない。

しかも、生命が今にもつきそうな紅見草にとって、
この戦いそのものが寿命をちぢめる事になる。

「妖怪であれば、妖界に返す事も出来るんだけど」

「違うと思う。物凄い妖力を持っているけれど。
やっぱり、精霊……なのかしら。しかも」

私を見上げながら、次の言葉を放った。

「妖界への道は閉じたでしょう。A、貴女自身が」

「……! 閉じてしまった。どうしたらいいの」

会話して居る間も、赤い実の攻撃は止まない。
結界の張られた外は、粒子で黄色くけぶり、霧のよう。

私は小さく顔を歪めながら、赤い実を見つめた……その時。

「結界が……」

スネリが、私の頭上を見上げた。

透明のアクリルケースの中に居るように、
安全だった結界の壁の一部が破け、

黄色い霧状の細かい粒子がふわふわと落ちてきた。

「すごい力だわ」

言いながら、ひげを震わせた。

「スネリ、呪符を!」

私は咄嗟に呪符を作ると、スネリに飲ませた。
二人が同時にそれをのみこんだ時

パンッ!

破裂音がして、結界が裂けた。

「A、ここに居てはもう駄目よ。一旦引き返さないと」

「でも、もえぎちゃんが命がけで伝えに来てくれたんだもの。それに、見て。
赤い実があんなにしぼんでしまった。このままだと、紅見草はもう死んでしまう」

私が言うように、パンパンに
ふくらんでいた赤い実がしぼんで、

子供の頭ほどの大きさになっていた。