妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ34)

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第６.３３話　ドライフラワーのようにページ34

私とスネリは、立ちつくして
考え込んでしまった。

「もえぎちゃんみたいに、紅見草の声が聞けたらいいのに……。
もっけにも、かすかに聞こえるって言っていたよね。それはどうしてかな……」

「わからないわ……。超聴力によるものでもなさそうね。もっけが
戻ってくれば、紅見草の声を聞いてくれて、何かわかるかもしれないわ」

私も、そうすれば良いだろうと考えている。

しかしなにかが引っかかった。
もちろん、それが何なのかはわからない。

「それに……」

それまでずっと口を閉ざしていた
スネリが、ゆっくりと言い始める。

「なに?」

「……A、貴女にも声が聞こえた時があったんでしょう、
山の頂にある展望台に行った時にも、そのような事を言っていたわ」

「私が……?」

そんな事よりも、スネリの言い方に私は驚いていた。

まるでこの村に来た時から、私が声を聞いていたのを
読んでいるかのようだったからだ。

確かに、初めてこの村に来て、
もえぎちゃん達を乗せたトラックが

目の前に走ってくる際、私は既に何かを感じていた。

というか、声が聞こえていたのかもしれない。
その辺りの記憶は曖昧だ。

黙りこんでしまうと、スネリはそんな私を見て笑う。

「そんなに深く考えなくても良いのよ」

「うぅ……」

「とりあえず、私達で出来る事をしましょう。
とにかく紅見草に触れないように、慎重にね」

私はチョーカーを外して、第三の目を開眼させた。
早速紅見草を観察してみる。

……枯れてしまっているのに、まるでドライフラワーの
ように、花弁も葉の形もそのままの姿。

細い茎を中心に、アーモンド型の葉が対をなして並び
猫の爪のような花弁の集合体が天に向かって開いている。

その様子は、いまの今まで水々しく咲いていたものが、
突然何者かの手によって、一瞬のうちに奪われたように感じられた。

目に鮮やかな緑の雑草の中に、
まだらに広がる、茶色く枯れた紅見草。

その対比が、生と死を表しているようだった。