妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ33)

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第６.３２話　忘れ去られてページ33

その花が紅見草だった。

紅見草を雀の生まれ変わりとして、
村人達は大切にし、地蔵を立てたと言う事だ。

～･～･～

もえぎちゃんは苦しそうな息づかいの中で、
懸命に紅見草伝説を聞かせてくれた。

「紅見草は……･･悲しんでいたの。皆から忘れ去られ……
枯れていってしまう事を。紅見草の泣き声だという事が
……もっと早くにわかっていれば……」

そこまで言うと、疲れたように目を閉じた。
私はもえぎちゃんの手をしっかり握りしめる。

「寂しかったんだと思う……。一人ぼっちだったの、紅見草は……」

声が泣いている様に震えていた。

「Aちゃん、村の人を守って。紅見草を助けてあげて」

その言葉に、私は頷くとスネリに目で合図をした。
その合図で、スネリは尻尾でもえぎちゃんの額にそっと触れる。

すぐにもえぎちゃんは寝息をたて始めた。

「苦しかっただろうに……」

感心したように言う。
それを聞いて、私も一時、黙り込んだ。

「もっけは、もえぎちゃんを隣町の病院に連れて行ってあげて。
私とスネリで、紅見草の事を調べてみる」

私が言うと、もっけはすぐに大きく変化し、その背中に
もえぎちゃんを落ちないように乗せて、緩やかに飛び立った。

～･～･～

後に残った私とスネリは、
枯れた紅見草をを改めて見つめた。

「昔は大切にされて、こうしてお地蔵さんまで立てて貰ったのに……。
いつからか、忘れ去られてしまったんだね」

紅見草は、
まるで私達をうかがい見るようだ。

「そうね……･･。ただ、今はとても危険な状態よ。
私達も、いつまでここに居られるか、わからないわね」

「……呪符の効き目が、いつまでもつかな。でも、村人を
助ける為には、この紅見草をどうにかしないといけない気がする」

言いながら、もえぎちゃんが
話していた時の事を思い出す。

「もえぎちゃんが、紅見草の事も助けてって言ってたけど……
どうしたら良いの? 触れば、さっきみたいな煙を出されてしまうし」