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第6.27話 響く声   190個目 ページ28

……、


もえぎちゃんが口の中で、
聞き取れないくらいの小さな声で呟くのと、

もっけが勢いよく首を振るのと……、
頭に痛みが走った私がしゃがみこむのとが同時だった。


「声が聞こえたの?」


声をあげずに苦しんでいるせいか
スネリが私に気づかずに、もえぎちゃんに聞いた。


「それが……、泣いているけど、でも、怒っている様だった」

「やっぱりな。おいらにも、ほんの少し聞こえたんだ。
泣いている声の中に、怒って居るような声が混じっているのを」

「……以前聞いた泣き声は、ただ悲しそうだったの……。
それが、今日は違うの。言葉を持っていたの」

「小さな女の子の声の様じゃなかったか?」


そう言うと、
もえぎちゃんは眉をよせて頷く。


「そうなの! こう言ったのよ。『悪しき力を持つ者、去れ』って。
あれは風の声じゃない。風はあんな声じゃない」


そう話している間にも、痛みはどんどん増して行く。
そのうち、声が響いて聞こえてきた。

幾つもの言葉が、頭の中で無茶苦茶に混ざって響いている。


なんて言っているの。
よく聞かせて……。

そう思って居ても、確かにわかるのは、
怒っている様な、涙声の……女の子の……。


「A?」


私の様子に気づいたスネリが
すぐに駆け寄り、抱きかかえられた。


「A、どうしたの?」

「声が……」

「まさか、声が聞こえるのか」


痛い……痛い、もう駄目……
そう思った時、また別の声が聞こえた。

大人の女性の……怒声だった。

その声が一つだけ聞こえた後、
頭の中に響いていた声が全て消えたのだ。


「…………!」

「大丈夫?」


聞かれて、私は頷く。頭の痛みも
スッと引いていたが、気分が優れなかった。

スネリに抱きかかえられた私は、
不安になってそのスネリを見た。

そして読唇術を使い、万が一にも
もえぎちゃんに聞かれないようにした。


『「悪しき力を持つ者」って……私達の事なのかな』

『違うわ。断じて』

『おいら達の他に、何者かが居るのかな』


二人も、読唇術で答えていた。

第6.28話 苦しい思いをするのは→←第6.26話 スゥ姉さん


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作者名:フェイル | 作成日時:2011年2月20日 22時

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