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第6.22話 サッカーボール ページ23

「凄いね、Aちゃん」

「え。あ、御免ね」


サッカーボールで遊んでいた足を止めた。


「お話、もっと聞かせて?」


良いながら、ボールを持ったまま
隣のブランコに腰かける。


「……風もね、お喋りするんだよ」

「風も?」

「ほんとは、母さんにも話した事ないの」


私はうず目でもないのに、一瞬、もえぎちゃんの
周りの時間が止まったような感覚に陥った。

もっけもスネリも、息をつめたような眼差しで、見守っている。


「風の声は滅多に聞こえないし、それが風の声だか、
動物の声だかわからない時が多いんだけど……」


ゆっくりと言葉を選ぶように言う。


「例えば、こうしてブランコに乗って居る時だとか、
雨のふる前や、夜に外を歩く時とかに、小さな囁き声が聞こえるの」

「…………」

「大抵はひそやかだけど、楽しそうな笑い声だったり、
歌だったり。でも、強風の時は『くるよ、くるよ』とか
『次はどこに行くの』って、話し声も聞こえるんだよ」


私が静かに聞いていると、


「Aちゃん、やっぱり私の事、変な子だと思っているでしょ」


と心配そうに言うので、
私はあわてて首をふった。


「全然。そっか。でも、風の声だったのかもね。
……良いな、私も風の話し声を聞いてみたいなぁ」

「ねぇ、さっきのボールのやつ、もう一回見せて。見たいな」

「え……、でもつまらないでしょ?」

「ううん。私が見たいの」

「……わ、わかった」



〜・〜・〜



「…………」


──本当に見ているだけだった。
見て驚いては興奮して、ニコニコする。

流石に精神的に辛くなってきました。


「ね……、ねぇ、一緒にやろうっ!」

「えっ、良いの?」

「い、いや、寧ろその方が(気が)楽だから……」

「うんっ」

「「…………」」


その日は夕方くらいまで
遊んでいたという。

第6.23話 紅見草→←第6.21話 小さな女の子の声


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作者名:フェイル | 作成日時:2011年2月20日 22時

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