妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ20)

今日:2 hit、昨日:37 hit、合計:14,260 hit

第６.１９話　突然の事件ページ20

「私はAというの。こっち……この人は…………」

あらためて自己紹介をして
もっけに手をさし向けて、困った。

『もっけ』というのは、人間の名前にしたら
少しばかり……ううん、かなり変わって居る。

私は自ら爆弾スイッチを押してしまったと、
言葉をつまらせていた。

ところが、もっけは胸を張って言う。

「おいらはもっけ。宜しくな。因みに、これはペットのスネリだ」

偉そうなもっけに“これ”とか“ペット”とか言われたスネリは
気分を悪くしたらしく、もっけの足をひっかいた。

「いてててて」

そう叫ぶと、それまで緊張していたらしい
もえぎちゃんは、くすりと笑って言う。

「私の名前はもえぎ。Aちゃん、もっけさん、宜しくね」

「もえぎちゃんは何年生なの?」

「中学二年生。Aちゃんは?」

私はそう聞かれて、少し考えた。
二年になる春休みから一年間、学校に行っていない。

つまり今は三年生って訳で。
勉強はもっけが教えてくれていた。

年齢においても、学校に行っている子供と同じ
三年生である事に変わりはない。

でも、身長が伸びなければ体重も増えないし……。
だから、私はあえて選ぶ。

「私も。同じ年だね」

中学二年生。その方が親しくなりやすいと思った。

私が言うと、もえぎちゃんは両手を膝の上で
握りしめながら、ゆっくりと話し始めた。

事件は突然の出来事だった。
例年ある筈の長雨もなく、乾燥した晴天がつづいたある日。

丁度、もえぎちゃんが風を引いて寝ていると、
畑に行ったおじいさんが倒れたと言う連絡が入った。

あわてたお母さんが駆け付けると、畑は大騒ぎになっていた。

倒れていたのは、おじいさんだけではなく
近所の人達も苦しんでいた。

すぐに救急車が来る。

お母さんがおじいさんに付き添って、

隣町の病院へ行き、もえぎちゃんが一人で
留守番をしていると、再び電話があった。

今度は小学校から。

もえぎちゃんの弟が下校途中で、はいてしまったという。

弟の他にも、大勢の小学生が同じような症状だったので、
先生が皆を病院に連れて行った。