妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ19)

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第６.１８話　おびえないでページ19

「どうして…………」

おびえた目になると、もっけから逃げるように
駆けだそうとした。その腕を、もっけは素早くつかまえる。

「驚かせて御免。でも、おいらにも聞こえるんだよ。
ほんのかすかな声だけど」

足が止まった。しかし、もっけの事が信じられないのか
腕をつかまれたまま、俯いている。

その時、スネリがもっけの足元に近付くと、
にゃお、と一声鳴いた。

そのスネリにウインクしたもっけが言う。

「この猫、スネリって言うんだけど、今
この猫がなんて言ったか、おいらにはわかるんだ」

もえぎちゃんはまだ下を向いている。

「「おびえないで」」

同時に言った。二人して、顔を見合わせて
少し笑うと、もえぎに言った。

「この猫はおびえないで、って言ったんだよ」

その言葉に、もえぎちゃんは顔をあげた。

「動物の言葉がわかるの?」

私はもえぎちゃんに頷く。

本当のところ、動物の言葉が分かる訳ではなくて、
動物に変化した妖怪の言葉がわかるだけなのだけれども。

「私……、私にも……たまに聞こえる声があるの。
どこからか、風にのって聞こえてくる声」

言ってから、小さくため息をつく。

「言っちゃった。母さんから、言ってはいけないと
言われていたんだけど。変な子だと思われるから」

「だったら、私も変な子だよ」

そんな私の言葉に、もえぎちゃんは
ゆっくりとまばたきを繰り返した。

その目は、かすかな不安を残していたけれど、
もう、怯えてはいなかった。

～･～･～

私とスネリともっけは、
もえぎちゃんに案内されて役場から離れた。

住宅地の中にぽつんとある小さな公園に行くと、
もえぎちゃんと私はベンチに腰かける。

葉桜からの木漏れ日が、私の顔にちらちらと影を落としていた。