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第6.17話 人間の声でない声  180個目 ページ18

「不思議な子だわ。あの子には、何か特殊な力を感じる」

そう呟いた。
私も、同じ事を思っていた。


「(もえぎという名前の女の子。何故かわからないけれど、
とても私に近い感じ。似ているのかもしれない……)」


トラックは、ふもとの町役場まで来ると、止まった。
おじさんは降りると、


「もえぎ、俺は農協まで行ってくるからな。にぎり飯をもらってろ」


といって、忙しそうに走って行く。

もえぎちゃんはこっくりと頷くと、役場の中に入って行こうとする。
私とスネリともっけは、役場の前でもえぎちゃんを呼びとめた。

スネリは猫姿のままだけれど、もっけは人間姿に変化していた。


「あの、ちょっと」


私の声に、もえぎちゃんは振り返った。
体は小さくて細いけれど、決してか弱い感じではない。

意思の強そうな目を持った子だと、私は感じた。


「日向村の事を教えて欲しいの」


思い切って言うと、
もえぎちゃんはけげんそうな顔をした。


「あ、あの、その、私、この町の中学生なんだけど。
学校のレポートの宿題をしなくちゃいけなくて」


しどろもどろに理由を言った。

もう少しうまい嘘があったかもしれないと思っていると、
もえぎちゃんは私の顔を真正面から見て言った。


「御免なさい。何も教えられない。
私が知って居る事は、ニュースで放送されている事だけだから」


そっけなく言うと、すぐにまた踵を返して
役場の方へ歩いて行きそうになった。


「ちょっと、待ってくれ」


ぎょっとした表情で、もえぎちゃんはもっけを見上げる。


「おいら、この事件の裏には何かあると思っている」


いきなり早口でそう言った後、少し間を置いて
やわらかい口調になって続けた。


「あんたにもわかっているんだろ?
何か聞こえるんだろ。……その、人間の声でない声が……」


その言葉に、もえぎちゃんは驚いたようだった。
顔が青ざめている。

しかし、驚いたのはもえぎちゃんだけではない。


私もそうだった。

もえぎちゃんが、『人間の声でない声』を
聞いている事が、信じられなかった。

それに、もっけはどうしてその事がわかったのだろう。

第6.18話 おびえないで→←第6.16話 おじさんと女の子


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作者名:フェイル | 作成日時:2011年2月20日 22時

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