妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ17)

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第６.１６話　おじさんと女の子ページ17

スネリは風上に顔を向けて、ひげをぴくぴくさせた。

「でも、ここにはなにかいる。強力な妖力を感じるわ」

「村に降りられないんだったら、隣町に行って
避難している村の人から話を聞きだすしかないかな」

私が言うと、スネリも、もっけも不安そうな顔をした。

「あまり大勢の人が居る所に行くのは気が引けるわ。
いくら私達が人間に変化したところで、怪しまれてしまうわよ」

スネリは迷っている様だった。

「でも、それしかないよ。確かに、スネリは変化しない方が
良いかもね。大人だから、怪しまれるし」

そう言って、
もっけが大きく変化しようと羽を広げたその時。

「…………?」

「ちょっと待て。車が来る音がする」

声を潜めた。

私達は急いで木の影に身を隠した。
白い軽トラックがエンジン音を鳴り響かせ、山道を乗ってきた。

私達が居るところから、数メートル走ったところで止まった。

木の影からから覗いていると、
トラックからはおじさんと女の子が降りてくる。

おじさんは女の子の父親のようだ。

「あまり長く居られないぞ。」

そう言うと父親だけ再びトラックに戻り、たばこを吸い始める。
女の子は私と同じ年頃で、華奢な体つきをしていた。

空に向かって手をかざし、その後
村を見下ろすようにすると、両手を組み、目を閉じた。

まるで祈っているかのよう。

「何をしているのかな……」

「さぁ……。あ、何か呟いているわ」

その言葉で、私達は女の子の口元を見つめた。

「な･か･な･い･で……」

「うん。泣かないで、って聞こえるな」

「でも、誰に向かって……?」

女の子の顔は悲しそうだ。

ところが次の瞬間、顔が歪み、
苦しそうな表情に変わると、体がふらりと揺れた。

「!」

私が思わず飛び出して行きそうになった時、
トラックの中のおじさんが飛びだし、女の子の体を支えた。

「もえぎ、無理するな。さぁ、もういいな。戻ろう」

親子はトラックに戻ると
再びエンジンをふかし、山を下って行った。

「あのトラックを追っていこう」