第6.15話 日向村 ページ16
「……A、もっけ?」
「「──ス、スネリ!」」
「あら、お邪魔だったかしら……」
不意に聞こえて来た声に、双方が我に返って声を上げた。
そんな私達を見て眉を下げながら言ったスネリに、
私は慌てて首を横に振る。
「そそそ、そんな訳……なんで邪魔になるの?」
「誤解だ、誤解! それよりなんでここに居るんだよ」
そう言うと、スネリはちょっと口をとがらせる。
「遅いのよ。心配してきたらここに居るんだもの」
「ご、御免ね……。あ……えっと」
「どうしたの?」
「日向村に……連れていって」
〜・〜・〜
日向村は、戦国時代の武将の秘湯として知られた温泉地に近く、
低い山にかこまれた小さな集落だった。
田畑やミカン畑が広がり、のんびりと静かな村のよう。
村民は、一山こえた隣町に避難している。
村に降り立った私とスネリ、もっけは
だんだん畑の真ん中で立ちつくした。
北国は桜の季節だったのに、暖かなこの村では、
すでに初夏の陽気。澄み切った空に雀が飛んでいく。
ふと、スネリが言った。
「A、この村の人々が倒れて行った原因は、
まだわからないのよ。食べ物なのか、水なのか」
「それとも、この村を覆う大気に、特殊なガスが混じっているのか」
私は驚いたけれど、
念のため、呪符を飲み込むことにした。
「急急如律令」
スネリともっけにも飲んでもらった。
その後、村民の家を一軒一軒たずねたけど、誰も居ない。
犬も猫も、牛舎の牛すら一頭も残って居なかった。
「みんな居ない……」
パタパタパタパタ……
「まずい、A!早くおいらに乗って」
もっけは私とスネリを乗せると、あわてて飛び立った。
そのすぐ後に、ヘリコプターがなにかの液体をまき始める。
その液体は霧状となって、村全体に落ちて行く。
「消毒液を散布してるのかな。しかし、どんなものか
わからないうちは、おいら達も暫く降りることは出来ないな」
旋回した後、村が見下ろせる山の頂に着陸した。
山を挟む形で、隣町がある。
山の東を下れば日向村、西を下れば隣町となっていた。
「村の人がいないから、なにも情報を聞き出せないね」
私は草むらに座る。
つんと、草の匂いがした。
第6.16話 おじさんと女の子→←第6.14話 どうしようもない
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作者名:フェイル | 作成日時:2011年2月20日 22時