妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ15)

今日:16 hit、昨日:3 hit、合計:14,237 hit

第６.１４話　どうしようもないページ15

「なっ、泣くことねーだろ!」

「うっ……ご、御免」

慌てて涙を拭く。

「……まぁ、あれだ。最初は、死んでもAを守るって思ってたからな。それだけの決意があったんだ。
でも、Aに生き返らせてもらって、その後スネリと考えたんだよ」

「私が……眠っている間に?」

「……ああ。おいら達、“死んでも守る”ことは、もうやめた。ちゃんと生き続ける。
もちろん、これからもAを守って行く事には変わりはないけど」

「じゃあ、もう居なくならないって……事?」

「まぁな。死んだら、Aを守る事も出来なくなるし……それに」

「…………?」

「その……言いたい事も言えなくなるだろ」

「言いたいこと、って?」

そう聞くと、もっけは頬杖をつく。
その動作をしただけで、質問には答えなかった。

答えてくれないと悟った私も
両腕を組んで、その上に顔を乗せた。

───このまま時間が止まらないだろうか。

この平和な時間が。このまま止まってくれれば、
きっと……幸せなんだろう。

そう思えた。

「……つまりさ」

「?」

私がまたもっけを見た瞬間、体が傾いた。

何が起こったのか、一瞬理解不能になって
喋ろうとしたけれど喋れない事に気づき、顔が熱くなった気がした。

「こういう事、とか……さ」

「は……」

私は何が起こったか頭の中で整理出来る状況じゃなかった。
でも反射的に、両手は口元を覆って。

「わ、わかんない! わかんない……よ!!」

「(何故二回言ったんだ)つまり、その、好き、とかだな……」

小声になって居た。

「す、好き……?」

「……好きでもわかんねぇなら、愛してる!」

もう半ばヤケのように聞こえる。

「え、あの……えっと……! わ、私も!」

「は?」

「私もっ…………好き、です」

「…………」

少し唖然とした顔で、左手をそっと上げた。

「…………」

何故かぶたれるのかと思って、強く目を瞑る。

その後、頭になにか乗ったのを感じて
目を開けると、もっけは微笑んで手を頭に乗せていた。

好き……好き。

君のその顔を見ると、つられて微笑んでしまうほど。
どうしようもない。

どうしようもない程なんだよ。

私の、君への“好き”は。