妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ2)

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第６.１話　泣いた数ページ2

「都和子先生……」

私は改めて、都和子先生の死を思い出して呟いた。

相変わらず、涙は出なかった。
そういえば2人と旅に出てから何回泣いたんだっけ。

「タイ兄……」

タイ兄の事を思う度、深い穴を覗くような気持ちに襲われる。

「スネリともっけ……二人まで居なくなってしまったら、生きていけない……」

体中の力が抜けた。
地面に突っ伏した時

ぱさ……

耳元で乾いた音がした。
私は耳の後ろの髪の生え際へてを持って行き、はっとして起き上る。

私の手の中には、スネリの毛が巻き付いたもっけの羽がある。
タイ兄との戦いの時、それが矢になり、私を守ってくれた。

その後、タイ兄を妖界へ帰し、スネリともっけの妖力が弱まった時、
元に戻った羽。それを髪にさしていた。

戦いの最中に、この羽は私に向かって話しかけた。

スネリともっけの念がこの羽に移っていたから。
その念の力は強く、二人が死んでも尚、暫くの間、羽の中で生き続けた。

しかし、既に念もつき
羽は海からの風に吹かれ、頼りなげに震えている。

私が目を伏せ、再び羽を髪にさそうとした時。

リン……

鈴のような音がして、羽が細かく震えた。
風にふかれて揺れていた動きと違い、リズミカルに震えている。

その内、私の手のひらで、羽が青白く光り出した。
人魂のようにぼんやり光、ゆらゆらと揺れている。

リン……リン……リン

涼やかな音色をたてて、震える羽を見ているうちに
私はそれが何かのメッセージのように思えてきた。

「スネリ、もっけ」

二人の名を呼びながら、知らず知らずのうちに印を結び始めた。
すると、私は背後から来るかすかな風の流れを感じた。

私の髪が一筋揺らぎ

「(何か来る!)」

その気配に振り向くと、暗闇の中できらりと輝く物が
流れ星のように私の頭上に飛んできた。

思わず手を掲げて、それを掴みとり見ると…………。
手の中には、黄金色に輝く五芒星のペンダントがあった。