妖界ナビ・ルナ～彼に恋した半妖怪～part６ (ページ1)

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第６話　失くしたものページ1

頬に暖かい日差しを感じる。そして、まぶたを開けた。
小高い丘の上、穏やかな波の音が聞こえてくる。

起き上ろうとして、思わず悲鳴を上げた。
体のあちこちが激しく痛む。

ここがどこであるか、一瞬私にも分からなかった。
今朝の明け方まで、夜鳴島に居た。

悠久の玉を使って、この人間界を守るため、
妖界への入り口を封印したのだった。

その後小船を使って、この浜までたどり着いた。

ふらふらと丘に登りついたまでは覚えている。
その後、気を失っていたのだろう。

暖かいと言っても、真冬。

このままここに居ては、凍えてしまう。
私は歯を食いしばり、起き上ると、傍らの二人を抱き上げた。

スネリともっけのなきがらだ。

私は、仲間であり家族でもあった二人の死を、受け止められずにいた。
ふたりがまだ生きていて、ただ眠っているだけだと……

そう信じている。心から。

でも、喋りかけても返事はこないと心のどこかで認めているのか、
私は二人に話しかけずにいた。

そして、立ちあがろうとしてよろけて、倒れた。
そのまま、また深い眠りについた。

目を開けた時、私は闇の中に居た。

再びの夜だった。

民家が無いため、明かりのない丘は闇に塗りこめられ
眼下に見える筈の海も、黒ぐろとした空間が広がっているだけだった。

空を見上げると、降り注ぐような満天の星が輝き、月が丸く見えた。

私がどんなに待っていても、二人が口を開けて喋る事は無い。
ただずっと、目を閉じて黙って……。

「スネリ……もっけ、話してよ……。」

願うようにいつもの癖でペンダントを握りしめようとして気が付いた。
そこにはペンダントはない。

お守りにしていたペンダントは、今は海の中。

私が自らした事。夜鳴島で妖界を封印する為に、
その依代としてペンダントを放ったのだった。