【ky】今度は愛していいですか【実況者】

story 36 ページ37

突然の言葉に、キヨくんは戸惑いを隠せない様子だった。


そりゃそうだ。この前私は"迷惑だから会いたくない"と言ったのに、次は"もうお別れしたくない"とか言ってる。


矛盾にも程がある。




キ「でもさ、倒れるほど悩むくらい迷惑なんだろ？」



恐る恐る、という言葉が似合う様子で、キヨくんは私に尋ねてきた。



自分が弱っているからなのか、もう我慢が効かなかった。




『違う…！ 私が悩んでたのは、キヨくんともう会えないかもって思ったから！』



自分では声を張っているつもりだけれど、やはり病人だ。弱々しい声しか出なかった。



キヨくんは目を丸くしながら驚いて、何も言えないようだった。



それをいいことに、私は一気に想いを吐き出した。




『同窓会に行ったときから、キヨくんに会えないかなって思ってた。

……ううん、私が同窓会に行った理由はキヨくんに会いたかったから。

自分勝手だって分かってる。でも、12年前から決めてたの。28歳になったらもう一度キヨくんに会いに戻るって。

28歳になったら、事務所が恋愛を容認してくれる予定だった。それが叶ったから私は同窓会に行った。

そして私はキヨくんと再会できた。……勝手に、また選んでくれるって、付き合えるんだって思い込んでた。


でもそんな簡単じゃなかった。キヨくんも有名になってて、友達としてよろしくって。

そりゃそうだよね、むしろ私は何も言わずにいなくなったのに、友達としてまた仲良くしてくれただけでも奇跡だもん』



ずっと胸に秘めていた想い。一度溢れてしまったら止まらなかった。



『ゆっくり、また友達以上の関係になれたら、なんて思ってた。

けど、あのスクープを撮られて、キヨくんが困った顔で笑ってるのを見て、ああキヨくんは困ってるんだ、私が困らせてるんだって思った。


そしたら、私は身を引くしかないと思った。……キヨくんの邪魔をしたくなかったから。


でも、いざお別れを告げたら苦しくて、まともにご飯も食べられなかったし、眠れなくて。仕事にも集中出来なくなっちゃった。


プロ失格だし、キヨくんにもまた迷惑かけちゃった。ごめんなさい。


……お別れしたくないなんて言ったけど、それ以上にキヨくんに迷惑かけたくない。


ごめんなさい。……泣いてるのも、今話したことも、気にしないでいいから』





私の想いを聞いてもらっただけで、十分だ。



さようなら、私の恋。




私は別れを告げられる覚悟を決めて、笑顔を見せた。

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