story 20 〜past〜 ページ21
キ「Aが芸能界入りしたらさあ、俺も上京しようかな〜」
オーディションを終えて、大通公園でアイスを食べながら噴水を見ていたとき、キヨくんがポツリとそう言った。
『まだ入れるって決まったわけじゃないよ』
キ「もしもの話だよ。だって俺、多分遠距離とか耐えられねぇもん」
『……それは同感』
キ「だろ? だから、俺も上京したら一緒にいれる!」
『そんなことで将来決めていいの?』
キ「そんなことじゃないって、俺にとっては大事なこと」
真剣な眼差しでそう言われて、相変わらず私の心臓はうるさい。
キヨくんってなんでこんなに真っ直ぐなんだろう。
『……私も、ずっと一緒にいたいな』
キ「ずっと一緒にいるよ。Aが嫌になるくらいな」
あまりに真っ直ぐすぎる彼に、少し意地悪をしたくなった。
『じゃあ、サッカーと私、どっちが好き?』
キ「……A」
『即答してくれなかった』
ぷくーっと膨れて見せると、キヨくんは焦ったように言う。
キ「A! Aの方が好きに決まってる! 大切なのも俺の中の一番もAだよ!」
『……っ、ふふっ』
思わず笑ってしまった私に、キヨくんは呆気に取られた顔をした。
『あははっ! ごめんね、意地悪した。キヨくんがサッカーも私も大切なの分かってるし、比べる対象じゃないことも分かってるよ』
キ「こ、このっ!」
『ふふっ! でも嬉しかった。ありがとうキヨくん。……私もキヨくんが大好きで、一番大切だよ』
そう言って微笑んだ私を見て、キヨくんは顔を紅潮させる。
キ「A…どんだけ自分が可愛いか分かってないよな」
『え?』
キ「言っとくけど、Aは自分が思ってる以上に可愛いから。オーディションに受かってるのがその証明」
『と、突然なに?』
キ「俺の彼女が自分の可愛さ分かってないせいで、俺のこと無意識に笑顔で誘惑してくる」
『ゆ、誘惑って……』
日が落ち始めた夕暮れ時。
地上は暑いからか、周りに人はいない。少し離れたベンチに女の子二人が座っているくらい。
それに、車通りが多いお陰で、私たちの声はかき消されていた。
キ「……A、そろそろホテル帰らない?」
『……うん』
そっと手を繋いで歩く。
全身の熱がそこに集まって、発熱するんじゃないかってくらい恥ずかしかった。
"お礼は今日の夜"。そう言ったのは、私だと言うのに。
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あもも - 初コメ失礼します。100票目頂きました!()凄く面白かったです。kyさんの夢小説はあまり読んだことはないのですが、物凄くよかったです!途中で泣けるシーンもあって感動しました。素敵なお話で読んでいて楽しかったです!*^^* (2022年8月1日 1時) (レス) @page42 id: 79394f6964 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - りんかさん» りんか様、コメントありがとうございます。初めての夢小説ということで、数ある作品の中からこの作品をお選び頂けたこと、大変光栄に思います☺️また別の作品でお会い出来れば幸いです。 (2022年7月28日 16時) (レス) id: 49dadc6dbe (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - ス、すごい、、、初コメと初めてキヨ。さんの夢小説を呼んでみたのですが、こちらの作品が初めてなので新鮮な気持ちになりながら読むことが出来ました!!なんなら途中のところとか気持ち入っちゃって泣きました、、、、笑 (2022年7月19日 3時) (レス) @page42 id: 1914ce7fa9 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - 光希さん» 光希様、コメントありがとうございます☺️楽しんでいただけたようでなによりです!また次の作品もよろしくお願い致します✨ (2022年6月20日 18時) (レス) id: 49dadc6dbe (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - 完結おめでとうございます!読みごたえがあって、全て楽しく読ませていただいておりました。お体にはお気をつけください!次の作品もまた、応援させていただきます。 (2022年6月18日 12時) (レス) @page42 id: a57a548651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやこ | 作成日時:2022年4月5日 16時