story 11 〜past〜 ページ12
キ「オーディション?」
3年生に上がってすぐの4月のこと。
残念ながら最後までクラスが分かれてしまった私とキヨくんは、部活がある日は終わってから一緒に下校するようになっていた。
『うん。近々オーディションがあるらしくて、16歳から22歳までの女性が応募出来るんだって。
書類審査通ったら、札幌で一次審査受けられるらしくて、ダメ元で応募してみようかと思ってて…』
キ「いいじゃん! 挑戦は大事だろ」
キヨくんは私がやることを全てと言っていいほど肯定してくれる。
だからこそ、迷っているときや不安なときは何でもキヨくんに喋ってしまうのだ。
本人はその気じゃなくても、自然と背中を押してくれるから。
『それでね、書類審査に写真が必要なの。その写真をキヨくんに撮ってほしくて』
私が本題を切り出すと、キヨくんはキョトンとした。
キ「俺、素人だよ? もっと上手い人に頼んだ方が良いんじゃね?」
『ううん。…キヨくんが撮ってくれたら自然に笑えるから。私はそれでオーディションに挑戦したいの』
お願い出来ないかな、と私よりもずっと身長の高いキヨくんの顔を覗き込むと、キヨくんは微笑んで私の頭をポンと撫でる。
キ「断るわけないだろ。俺が一番、Aのこと応援してるんだから」
力強くそう言い切ってくれたキヨくんに安心して、私は笑った。
後日、キヨくんが撮ってくれた写真の中の私は、思った通り自然な笑顔で写っていた。
それはカメラに向けてではなく、カメラを構えたキヨくんに向けての笑顔だった。
まさかそれが、皮肉にもキヨくんと私を引き裂くものになるとは。
明るい未来だけを見つめていたこの時は、想像もしていなかったんだ。
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あもも - 初コメ失礼します。100票目頂きました!()凄く面白かったです。kyさんの夢小説はあまり読んだことはないのですが、物凄くよかったです!途中で泣けるシーンもあって感動しました。素敵なお話で読んでいて楽しかったです!*^^* (2022年8月1日 1時) (レス) @page42 id: 79394f6964 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - りんかさん» りんか様、コメントありがとうございます。初めての夢小説ということで、数ある作品の中からこの作品をお選び頂けたこと、大変光栄に思います☺️また別の作品でお会い出来れば幸いです。 (2022年7月28日 16時) (レス) id: 49dadc6dbe (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - ス、すごい、、、初コメと初めてキヨ。さんの夢小説を呼んでみたのですが、こちらの作品が初めてなので新鮮な気持ちになりながら読むことが出来ました!!なんなら途中のところとか気持ち入っちゃって泣きました、、、、笑 (2022年7月19日 3時) (レス) @page42 id: 1914ce7fa9 (このIDを非表示/違反報告)
みやこ(プロフ) - 光希さん» 光希様、コメントありがとうございます☺️楽しんでいただけたようでなによりです!また次の作品もよろしくお願い致します✨ (2022年6月20日 18時) (レス) id: 49dadc6dbe (このIDを非表示/違反報告)
光希(プロフ) - 完結おめでとうございます!読みごたえがあって、全て楽しく読ませていただいておりました。お体にはお気をつけください!次の作品もまた、応援させていただきます。 (2022年6月18日 12時) (レス) @page42 id: a57a548651 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みやこ | 作成日時:2022年4月5日 16時