【無印】ジョーカーとルーラー (ページ6)

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2人がそんな会話をしている内に、前の方の座席が賑やかになっていた。
耳を傾けると、外に島が見えるのだという。佐久間と鬼道も、視線を窓の方へやった。

「あれが本戦が行われる会場か…！」
佐久間が目を輝かせながら声を弾ませた。

恐らく、今飛行機に乗っている全ての人間が窓の外を見ていることだろう。
そこにはFFI本戦が行われる、通称「サッカー島」の姿があった。FFIのため、島を丸ごと改造しているのである。

「やることがデカイねぇ」
思わず、Aも声を漏らした。

キャラバンに乗り換えて、飛行機から出る。皆、相変わらず嬉々とした様子で窓の外を見ていた。
暫く車を走らせると、町並みがコロコロと変わっていく。さながら映画のセットである。

「イギリススペースもちゃんとイギリスだ～」
Aが年相応といった様子で声色を弾ませる様を、不動がじっと見つめる。
端から見ればバカップルのようである。

「そういや、Aちゃんイギリスに留学してたんだっけ？」
不動が機嫌が良さそうに目を細めながら聞いく。
「イギリスとイタリアにね、楽しかったよ。」
これまたAも機嫌が良さそうに答えた。

佐久間は、Aがあんなにも機嫌が良いのはサッカーをしている時か馬鹿をやっている時くらな物だ。と、通路越しに物珍しそうに見ていた。

偶々横を通ったコートのイタリアチームの練習風景を皆が興味深そうに見ている。
しかし、Aは全くと言っていいほど関心を示さない。それもその筈で、Aはイタリアに３ヶ月間留学していた時に、いやと言うほど練習を見ていた。その中でも、フィディオとは共にコートを駆けたこともあり、当時、久々に心踊るプレーをすることが出来た相手でもある。

余り長く観ていると相手の迷惑にもなるだろう、ということで早々に切り上げ、引き続きイナズマジャパン用の宿舎へと車を走らせた。

「有島。マネージャーや俺たち監督と同じ階か、選手と同じ階か。部屋はどちらがいい。」
無事宿舎に着き、荷物を運びいれる際に久遠がAに問いかけた。

「え、普通に他のマネージャーたちと同じ階にしてください。野郎が隣の部屋とか嫌です。」
「…分かった。それでは他の奴らに部屋割りを伝えてこよう、お前の部屋は最上階の向かって右の奥だ。」

Aは、「あ、こいつ部屋割りめんどくさいから元は自分の隣にするつもりだったんだろうな」と気付いたが、了解です。とだけ返して、自室に向かった。