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大人になって仕事を始めてからは

寂しい、

なんて感情を感じないほど
忙しく動き回っていたけど、
今日、めぐちゃんに話したことで
幼少期に返ったような感覚になり、
急に、溢れるような寂しさに包まれた。



あ〜ダメ、名取くんが起きちゃう。


泣きそうになるのをこらえるように、
ソファーの上で両足を抱え込む態勢になり、
おでこを膝に押し付け、必死に腕を摘む。


「A、さん?」

ビクッ


名取くんが起きたみたいで、
私に声をかけてくるが、
こんな顔を見られたくない一心で
そのまま顔を上げずにいた。


『ごめん、ちょっと、このままでいたいの。』

理由は話さず、
意味深なことにならないように考えた末、
今の言葉が精一杯だった。


パサッ

突然、
タオルケットが被せられたかと思うと、
ギュッと名取くんの体温に包まれた。


「、、辛い時くらい、頼って下さい。」


名取くんの優しい声が心に染みる。
頬を涙がつたった。


人前で泣くなんて、何年ぶりだろう。
あの子は可哀想と思われたくなくて
いつの間にか人前で泣けない。
幼いながらにそんな責任感を感じていた。




20年間積み重なった
緊張の糸がプツン、と切れたんだ。









しばらくして落ち着きを取り戻す。
と同時に、段々恥ずかしくなる。

今日に限ってピッチが鳴らない。



『名取くん、もう大丈夫だから。
ありがとう。ごめんね、急に。』

平常を装い
タオルケットごと名取くんの腕を
離そうとすると、

「ダメです。」

名取くんの腕に力がこもる。

『ちょ、苦しい苦しい!
わかったから、ちょっと落ち着いてっ』


「Aさん、照れてます?」


『こんの、馬鹿たれいっ!』

バッ


調子が良いことを言われ、
恥ずかしいのと怒りで腕を振り切った。



「ふふ、
元気になりましたか?」


『いい加減にしなさいっ』


「すみませんっ調子に乗りましたっ」

笑いながら謝る姿に納得しないものの、
あの状況を救ってくれたのは彼。





『ありがと、颯馬くん』





素直に感謝の気持ちを伝える。



「っ!、、、。」








『じゃ、ちょっと仮眠とるから、
何かあったら呼んでね。』


さっきの騒動で床に落ちた
タオルケットを彼に渡し
仮眠室へと向かった。


それから急変などで呼ばれる事はなく、
穏便に早朝を迎えた。

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設定タグ:コードブルー , 山下智久 , 藍沢耕作   
作品ジャンル:恋愛
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マナ - 聞いてもよろしいでしょうか? (2021年4月10日 16時) (レス) id: b2e96b20a7 (このIDを非表示/違反報告)
プリン姫(プロフ) - RthmEGMoHssRE1Hさん» 読んで頂きましてありがとうございます。ご要望いただきまして嬉しいです!短編でも出来れば...とも考えているのですが、前向きに考えさせていただきますね! (2019年5月15日 23時) (レス) id: 9cc564a9cd (このIDを非表示/違反報告)
RthmEGMoHssRE1H(プロフ) - 名取先生、もっとみたいです! (2019年5月15日 20時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
プリン姫(プロフ) - イチゴ王子さん» ありがとうございます★嬉しいです!今週も気合で書きます!楽しみにしていてください(^○^) (2017年8月9日 21時) (レス) id: 9cc564a9cd (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ王子 - とっても面白いです!続き楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年8月9日 1時) (レス) id: b0474ef046 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:プリン姫 | 作成日時:2017年7月23日 18時

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