35 名取side ページ35
翌朝、スタッフ控え室へ向かうと、
「あれれれれ〜？
何？もしかして、
Aちゃんは名取くんに
送ってもらったでちゅか〜？」
藤川の声が半開きのドアから
聞こえてきた。
『なんでそこで名取くんの名前が
出てくるの』
俺のこと、
ただ、後輩としか思ってないな。
A先生の返答に少しイラつき、
少し乱暴にドアを開けて２人を見ていると、
「さぁねぇっ、な？名取？」
陽気に俺にちょっかいを出す藤川先生。
バチッと、
A先生とも目が合った。
「おはよう、ございます。」
彼女と目が合うと、
無意識にさっきのイライラが
抑制されてしまう。
『おはよ。
昨日はありがとね。』
A先生が呑気に笑い話しかけて来る所に
少し呆れてしまった俺は、
会釈だけして着替え、
ステーションに向かった。
「！おはよう、ございます。」
「あぁ。」
作業していると、
藍沢先生が昨晩の緊急患者資料を
手に取り眺めながら入ってきた。
「藍沢先生」
「なんだ。」
資料に目を向けたまま返事をする。
「昨日は、
如月先生を送って帰ったんですね。」
「、、、あぁ。」
今度は、チラッと俺を見た後返事をする。
A先生の名前に反応したんだ。
「負けませんから。」
「、何がだ。」
「医師のスキルは負けても、
Aさんのことは負けませんから。」
俺の後ろではA先生が
緋山先生たちと話す声が聞こえる。
藍沢先生の視線は
俺の後ろを向いている。
多分、いや、きっとA先生を見ている。
藍沢先生に見せつけるかのように
Aさんの元へ行く。
昨日１人で帰ったのか、
少し意地悪に聞いてみると
彼女はうん、と藍沢先生とのことを隠した。
それどころか
呑気に俺のことを心配をして聞いてくる彼女。
藍沢先生は
資料に目を向けるも
チラッとこっちを見ている。
更に見せつけるように、
彼女の耳元に囁いた。
「今度は、俺が送って帰りますから。」
『えっ名取くん』
「颯馬、
俺の名前は、颯馬です、Aさん」
固まる彼女に満足して、
ニコッと微笑んで残っている作業へ向かう。
俺が去った後、
Aさんに近づく藍沢先生。
資料を渡し何かを話した後、
ステーションを出て行く。
そして、チラッと俺に目を向ける彼女。
俺は今は言えない気持ちを
視線に込めて彼女を見つめた。
この淡い気持ちを。
藍沢先生には、負けたくない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1226人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マナ - 聞いてもよろしいでしょうか？ (2021年4月10日 16時) (
レス) id: b2e96b20a7 (このIDを非表示/違反報告)
プリン姫(プロフ) - RthmEGMoHssRE1Hさん» 読んで頂きましてありがとうございます。ご要望いただきまして嬉しいです！短編でも出来れば...とも考えているのですが、前向きに考えさせていただきますね！ (2019年5月15日 23時) (レス) id: 9cc564a9cd (このIDを非表示/違反報告)
RthmEGMoHssRE1H(プロフ) - 名取先生、もっとみたいです！ (2019年5月15日 20時) (レス) id: 2c5e964fc3 (このIDを非表示/違反報告)
プリン姫(プロフ) - イチゴ王子さん» ありがとうございます★嬉しいです！今週も気合で書きます！楽しみにしていてください(^○^) (2017年8月9日 21時) (レス) id: 9cc564a9cd (このIDを非表示/違反報告)
イチゴ王子 - とっても面白いです！続き楽しみにしてます！頑張ってください！ (2017年8月9日 1時) (レス) id: b0474ef046 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：プリン姫
| 作成日時：2017年7月23日 18時
