Heart 〜心 いのち キモチ〜 By コードブルー

16 横峯side ページ16

あーーーっもう！

上手く行かない！

また藍沢先生に怒られちゃう。


足を引っ張りたくない。
そんな焦りでいっぱいで、
人体模型を使って
胸腔ドレーンの練習をしていた。

目の前の患者さんを見ると
頭が真っ白になって
体が動かなくなる。
藍沢先生の目が怖い。



でも、上手くなりたい！救いたい！

ひたすら練習をしていた。


『そこは、胸膜があるから、
強く押し過ぎたら臓器まで傷つける、
気をつけて。』

「えっ？A先生！」


振り向くと、
ニコニコと私の様子を伺いながら
立っているA先生が居た。

私が藍沢先生に厳しく
指導を受けているのを心配して
声かけしてくれる優しい先生。


「こう、ですか？」

『もうちょっと、倒して、
うん、そう、もうちょい、、、、そっ！』


「わぁ、出来たっ」

『もいっかいやってみ？』


「、、はいっ」




「おい、」
「あ、藍沢先生っ！」

「ちょっとこっちへ来い」


え！もしかして、何か教えてくれるの！？



A先生にお礼を言い、
藍沢先生について行く。


ICU室に入ると、

「こんなに良い患者が居るのに、
模型で練習するなんてもったいないことするな。
安心しろ、この患者は意識がない。
下手なお前でも何も文句は言わない。
物だと思って練習しろ。」


衝撃的な発言をした藍沢先生。


「そんな！患者さんを物だなんて！
藍沢先生！酷すぎます！」




悲しくて、悔しくて
泣いてしまった。






『ちょっと！藍沢！こっち来て！』







A先生の声が聞こえたけど、
悲しくて泣き崩れた私。
白石先生が寄り添って椅子に
座らせてくれた。




私、、、私、、、苦しいよ。





「横峯さん、まずは落ち着いて、ね？」





泣き止むまで、
白石先生が付き添ってくれた。

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