slow【Pacific-L】 (ページ17)

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reliever（bs#18）ページ17

気分転換で行ったコンビニからオフィスに戻る。
オフィスの階に到着して扉が開くと、
エレベーターホールに警備員の彼女がいた。

お疲れ様です、と言ってエレベーターに乗ってきたので思わず声をかける。

『あ、これ。上行くエレベーター…………』

はい、と言って迷わず屋上が行き先の《R》のボタンを押す。

『………あの』

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俺も、行かせてもらえませんか。
と言うと。

俺の顔をじっと見た後。

他の人には内緒にしてくださいね。
本当は立入禁止なので。と言って連れてきてくれた。

はじめて入る屋上は思ったよりも広く。
風に当たり、開放的な気持ちになる。

『………わたし、これから休憩時間なんです』

『……え、』

せっかくの休憩時間に、俺が立ち入ってよかったのか。
やっぱり戻ろうかどうしようか逡巡しているうちに、
彼女が口を開く。

『…………くま』

指先は目元を指している。

『………なんのために、そこまで頑張るんですか』

ここは面接の場でも、
気に入られたい客先でも、
俺の評価をしている上司がいる場でも、ない。

『……って。頑張ってるのが標準の人に聞くのも変でしたね』

俺と一緒に働いているわけではない、のに。
すべて見透かされているような。
なんだろう、ひとり、置いて行かれている。

『たまには、なんにもしない選択肢も、ありですよ』

あ、めちゃくちゃ偉そうだ、わたし。ごめんなさい。

と言った彼女の顔がまた、見たい。いや、絶対見たい。

『また、来てもいいですか』

『……気分屋の警備員次第ですね』

もうすこしいる、という彼女に別れを告げ、エレベーターに乗ったあと。

俺は聞きたいことがあったことを思い出す。
また、聞けなかった。

……てか、名前。知りたい。

とりあえず、次会える時までに睡眠不足は解消したい。