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スカイデッキを歩きガラスケースの前に辿り着いた。ガラスケースは防弾ガラスで、防犯装置は2〜3個ありそうだなと呟いたキッド。
『“にても綺麗だな〜。ラピスラズリのビッグジュエル...天空の貴婦人、青色の宝石の中にあしらわれた金色の粒とかスゴい、、食べちゃいたいなぁ”』
キッド「最後が駄目だなぁ。」
『“いやいや、この1番大きな金色の粒とか一番喰いたいだろ...?”』
キッド「...。フッ、確かにな」
そう私が示した1番大きな金色の粒は、女の人の横顔に見えるという“天空の貴婦人”の名の由来だ。古代ローマの博物学者ブラニウスはこれを「星のキラめく天空の破片」と表現したらしい。
キッド「まさに、
このスカイデッキに飾るにふさわしいお宝って訳かー?」
『“.....。キッド”』
キッド「ん?」
獲物を目の前にニヤニヤとした表情を浮かべているキッドに、声を掛けて目流しで後ろの方にあるエレベーターに目を向けさせる。
キッド「!」
階の表示数がここスカイデッキである最上階にどんどん上がってくる。それを確認したキッドは再び、宝石の方に顔を向けて気配も雰囲気もただのウェイターになった。
そして、開かれたエレベーターから現れたのは蘭───。
コツ、
コツ、、
コツ、、、
蘭「あ、誰だろ.....?」
宝石の元へ近付いてきた蘭が、俺達2人の存在に気付いた
ウェイター1「あ、どうも」
ウェイター2「...」ペコッ
蘭の存在に今気付いたかの様に、俺とキッドは振り向いて客である蘭に軽く挨拶と会釈をした。
その挨拶に蘭は少し戸惑いながらも返してくれた。
蘭「どうも。えっと...、」
ウェイター1「この船でウェイターをやってます。ちょっと仕事を抜け出して噂のビッグジュエルを見に来たんです」
蘭「へぇ〜、」
ウェイター2「...オイ、もう戻らねェと...」
ウェイター1「あ、ホントだ。」
俺はキッドの着けた腕時計を見て、時間が無いと伝える。その時キッドが掲げた腕を見た蘭が微かに目を見開いた。
ウェイター1「では、ごゆっくり」
蘭「あ、はい。」
俺も軽くお辞儀をして、蘭の横をキッドに続いて通り過ぎる。その様子を何故かじっと見詰めてくる蘭...
そして何かに気付いたのか、キッドに向けて眉を顰めた。
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作者名:MN | 作成日時:2024年3月2日 10時