episode50 ページ50
ただの口実にするつもりだった。
手ぶらで君に会いに行くなんて、そんな勇気今の僕にはなくて。
鼻を赤くしてマフラーに顔を埋めて。
ケーキ屋から歩いて君の家まで歩くのに時間は少しかかってしまった
『…』
僕はいつもどうしてタイミングが悪いんだろう
インターホンを鳴らして、両親が出ても本人が出てもいいように何度も頭の中で練習したのに
彼女の家の角を曲がろうとしてやめた
ウォヌ:まさか家にいると思わなかったよ
ペディンのフードを被っていても眼鏡と特徴のある低い声ですぐに分かった
ウォヌが彼女の家の前で彼女と話していた
「わざわざありがとう、お父さん喜ぶよ」
ウォヌ:よろしく言っておいて。
「うん」
冬休み前以来だった、彼女と会うのは
長い髪を束ねて部屋着の彼女は少し幼く見えた
…ケーキ、無駄になりそう
ウォヌに笑顔を見せる彼女はとても楽しそう。
僕といる時よりもずっと。やっぱり彼女は笑顔が良く似合う
ウォヌが帰ると、寒そうに腕を前に組んで家に戻ろうとしていた
『―――…Aちゃん』
きっと不気味なんだと思う
連絡もなしに急に現れて彼女の名前を呼ぶなんて
「…ホンくん？」
中に入ろうとした彼女が僕に気付いた
恐る恐る彼女は階段を下り、門から出てきた
「…どうしたの？皆とカラオケいるんじゃ…」
話す度に白い息が口から漏れる
彼女が不思議そうに僕を見つめると、何を話せばいいのか分からなかった
『…ケーキ、もう食べた？』
「ケーキ？うん、お父さんが買ってきて食べたよ」
『…そっか』
僕を不思議そうに見つめると目線を下に逸らしケーキの箱に気が付いた
「もしかして届けに来てくれたの？」
『…ううん』
こんなの口実に過ぎない
本当は君に謝りたくて勇気が出ない僕のお守り代わりなんだ
『…僕のせいで辛い思いさせてごめんね』
何でこんな一言が言えなかったんだろう
何度も言うタイミングはあったのに
「…私こそごめん…」
傷つけてしまったのは僕の方なのに
彼女は泣きそうになりながら僕にごめんと告げた
僕は好きなんだと思う
君の笑う顔も、今の泣き顔もどんな君も
「…私もカラオケ、行っていいかな」
『皆待ってるよ。あたたかい格好しておいで』
だけど、僕はまだ君に大切なことを告げられずにいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キキ - とても面白くて一気の読んじゃいました！続き楽しみにしてます^ ^ (2019年12月14日 17時) (
レス) id: b5b68b1f48 (このIDを非表示/違反報告)
mkinsprit(プロフ) - ホンくんの自分の気持ちに気づいた時の男らしい告白を楽しみに待ってます！でも、この2人の気持ちが重なるまでにある色々な出来事、それもまた楽しみです。ね、剛田ジョンハニ^_^更新を楽しみに待っています！頑張ってください^_^ (2019年11月25日 23時) (レス) id: 0bd1ab3dc1 (このIDを非表示/違反報告)
strawberry(プロフ) - いつも見てます！主人公ちゃんが中学校の時好きだった人で、btsのホソクさんはどうでしょう(o^^o)これからも更新頑張ってください！ (2019年11月23日 22時) (レス) id: b15d1f6763 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やっこちゃん
| 作成日時：2019年11月5日 23時
