スターラブレイション 【吉沢亮】

episode19 ページ19

何があったのかと言われれば他でもない


Take7。つまり7回同じシーンを撮り直したことを表す。
現場の空気は不穏でもう濁りに濁りまくってる


土方さんの煙草なんかもはや次の箱の用意がそこに準備されている
演者もため息をこぼしている


それでは問題です


この空気、誰が作り出したでしょう。





誰が？
はい


全て私です。



そして一旦休憩の合間にミルクティー頭の袴姿の男にセット裏に呼び出された



『お前昨日覚えてきたのかよ』
「覚えてきたよ！覚えてきたけど…」



あのね、皆さん。
私ロボット役なんですよ


ロボット役でその上顔の表情は変えてはいけない



「人間じゃなくなるって何？」
『だって今のお前ただのユリがたまのコスプレしてるだけじゃん』



は…


そんなのお前だっ…


てじゃない。
こいつは誰がどう見ても沖田総悟になりきってる

真選組の衣装も衣装ではなく制服になっている



「…」
『このドラマはお前が主役なんだよ。もっと考えろよ』



そのまま演者の元へ戻っていった



…ダメだ
泣いたら白塗りのファンデーション落ちちゃう


グスッ



「…」


優子ちゃんに言われた言葉を頭の中で繰り返した


私こそ、私こそ、私こそ…

それでも思ってしまう
なんで私なんだろう


その感情が蝕んで支配していく



その場に座り込み俯いてしまった



私が戻らなきゃ撮影再開しないのに、立てなかった




その時
誰かが私の前に立ったのが見えた


…クロックス。



ピンクのゴツいクロックスにでっかく銀さんと白いテープに黒いマジックで書かれている



…銀さん。銀さん。

…！


「お、小栗さん…」



小栗:たーまちゃん。



私のバイブル
花沢類様…

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