スターラブレイション 【吉沢亮】

episode26 ページ26

『お前本当に誰とも付き合ったことねえの？』
「無いよ」


お酒が進むとプライベートな話に食い込んでくる
2杯目は梅酒のソーダ割りを頼み、吉沢は日本酒を頼んだ


「スキャンダルが命取りの世界でしょ？」
『上手いやつは隠れてやってんだよ。下手なやつが撮られんだよ』
「あんためっちゃ言うじゃん」


確かにそうだ。
人気俳優のあの人は一般人女性と結婚まで一度も撮られていなかった

けど、素敵だと思うこともある
朝ドラで夫婦役で共演したことがきっかけで交際が始まりお祭りデートを撮られていた二人は憧れである


「どうせあんたは上手くやってんでしょ？」
『どうでしょうねー』


はー…
私なんか自分でも分かる、分かりやすいタイプだ
もし付き合い始めたら顔に出て誰かに言いたくなる


吉沢はどうせ上手いから何人とも付き合ってきたんだろうなー…



『お前はプロ意識高えもんなー。人の電話番号ビリビリに破くぐらいだから』


7年前のそのことを吉沢は知っていた
…菜奈ちゃんか？
それともザキヤマか？


「そっちが彼女いるのに私のこと引っかけてきたからでしょ？」


今でも鮮明に覚えているわ。
あの女優の子と二人仲良くしていたのは目に見えていた



『彼女？…あぁ、あいつ？え、お前あいつのこと彼女だと思ってたの？』
「は？え？」


『従姉だよ。あいつ従姉。周りに黙ってるだけ』


…


…


…なんじゃそりゃ。
なんじゃそりゃ、なんじゃそりゃ。


じゃあ私は7年間一方的に吉沢のこと恨んでたわけ？


「ウケる〜！！…いやウケる。」
『それで勝手に誤解してたの？』
「いや、普通そう思うでしょ」



『俺はてっきり嫌われてんのかと思った』



「…何で私に番号渡したの？」



お酒の力は偉大だ
普段の私ならこいつにこんなこと聞くわけない

美味しいものを食べて、お酒を飲めば
人はこうも積極的になれるのかと。




『…なんでだろうなー』

「…いいや。答えないでいい。大将、お会計お願いします」




本当のことを知れたはずなのに
吉沢のその答えに何を期待していたのか。



『おい、足元ふらついてんぞ。タクシー呼ぶから』
「…」




7年分の怨念、無事成仏

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