episode37 ページ37
ザワザワ…
会社に行くやいなや
周りには白い目で見られた
"吉沢君、課長の奥さんと…"
"意外じゃない?"
うーわー…
噂って早まるの早くねえか
ドサッ
『はー…』
神木:…大変なことになったね。
『…課長が言ったの?』
神木:…これ。今朝来た時に会社中のパソコンに一斉送信されてた
隣のデスクの隆のパソコンを見せてもらった
…営業部の吉沢亮は、上司のA隆久の妻と不倫関係だ
その一文と
俺の家にAさんと俺が入る写真が添付されていた
…週刊文春みたいだな
神木:つーか前に言ってたのって…
『うん。そういうこと』
神木:うわー気付かなかったわ…
隆は俺を責めたりしなかった
こういう事に関心が無かったのか
神木:いいんじゃん?好きになったのが人のものってだけじゃん
『…お前のその考えが偉大。』
誰だよ、こんなの流したの。
課長がこんなわざわざするとも思えないし…
…
『…経理部行ってくる。』
神木:…あ、そういうこと?
カツカツ…
・
・
カランカラン…
アイスコーヒーをストローで混ぜると
流し込んだミルクが下へ下へ沈んでいく
ストローを動かす度に氷が音を立てて動く
夫:…A、昨日は言い過ぎた
「…」
会社を休んで、自宅の近所のカフェで話。
昨日の形相とは違う
柔らかい表情の彼
夫:あの後反省したんだ、今まで苦しめてごめん…
「…私、あなたの元へ戻る気は無い。」
黙っていた口を開くと
彼は驚いていた
何を、驚く必要があるのか
「…子供、欲しかったのは自分の為なの。あなたの帰りを待っている間に寂しさを紛らわしたかったの。」
夫:じ、じゃあ今からでも遅くな…
「無理よ。あなたが怖くてこうやって外で会うことを選んだんだから」
ストローに口をつけると
ほんのり苦味のあるアイスコーヒーが喉を潤す
彼の方を見ると先程までの柔らかい表情は
絶望に変わっていた
夫:嫌だ、嫌だ…頼む、俺お前無しでは…
「…家政婦なんていくらでもいるじゃない。」
昨日あなたが放った言葉。
私は一生忘れないよ
「…さよなら。…また離婚届は送るから」
チャリッ
アイスコーヒー代を空になったグラスの横に置き
席を立った
彼に背を向けた
その瞬間
テーブルから銀と銀が当たるカチャカチャという音が聞こえた
・
"キャーーーッ!!!!"
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ゆりひめ(プロフ) - 「あなたがいればいいのに」という歌はお亮がMVにも出てて切ないのでオススメです!!! (2018年9月3日 20時) (レス) id: c0a76fbe4f (このIDを非表示/違反報告)
桃香(プロフ) - 何というかなんて言えばいいかわからないんですけど一言で言うとありがとうございます!!!!(涙) (2018年8月26日 14時) (レス) id: f6fc303306 (このIDを非表示/違反報告)
ルウ(プロフ) - はじめまして。いつも更新楽しみにしてます。吸血鬼な吉沢くんとそんな彼を好きになる女の子のお話がみてみたいです。 (2018年8月26日 12時) (レス) id: 75c59d31d8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっこ(プロフ) - はじめまして。いつも更新を楽しみに読ませていただいています!学園もので地味な吉沢くんと人並みの女の子のお話がみたいです!途中で女の子が吉沢くんの顔の端正さに気づくような描写があると嬉しいです (2018年8月25日 18時) (レス) id: e1fba8a6a9 (このIDを非表示/違反報告)
カリン(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いています!超ドSなお亮が見たいです! (2018年8月25日 14時) (レス) id: 8750cc74ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:君との時間。 | 作成日時:2018年8月15日 15時