この夜を止めてよ Ryo.Yoshizawa

episode20 ページ20

ワーワー…


不思議な気分です
夕方に夫とスーパーにいるのは

とても不思議な気分です


夫:ピザ作れるよな？
「作れるけど…」
夫:あと、カナッペとかチーズとか…


材料をカゴにバンバン入れていく
いや、作るの私だから

見栄だけ張って結局苦労するのは私だけだ


夫:19時に呼んであるから。
「え、さすがに時間無いって…」
夫:えぇ？


こっちの台詞だわ。


夫:俺も手伝うから！なっ？
「もー…」


この人は、いくつになっても変わらない
半ば強引にいつも決める

勿論
それが有難いと思う時もある

優柔不断な私に道を作ってくれるのだから


でもそれは、彼も一緒だ



・




・



トントン…


「ねえ、何人ぐらい来るの？」
夫:仲の良い奴だけだよ。6人ぐらいかな？


珍しくキッチンに立ったと思えばこれだ。


トポポポ…


「えっ⁉ちょっ、ちゃんと計って入れてよ！」
夫:え？
「もう私がやるから座ってて」


嫌いだ
いつも、文句言われないように頑張ってるのに

あなたは何も分かってない


私がいつも適当に作ってると思ってるのだろうか



・



・


ある程度料理も仕上がり、後はメインのピザのみ

だが間に合うわけもなく。
呑気にまだ具材の皮を剥いている



ピンポーン…


夫:おっ来たなー
「開けてあげてー」



…ハッ
今、髪結んで手も汚い状態なのに…
最悪だ。



ガチャッ


夫:いらっしゃーい

神木:課長お疲れ様でーす！
"これ、土産っす！"


夫:おぉー吉沢、上がれ上がれ。




『お邪魔します。』


玄関の方から聞こえる声にドキドキした
あ、家にいるんだ…



"課長の奥さん、こんばんは！"
"いや〜お綺麗ですね！"

「こんばんは、ゆっくりしていってね。」


いつもは殺風景なリビングに、若い部下達
そりゃ上機嫌なのも無理ないわ…

…まっ、待って


吉沢君が着てるTシャツ…

このあいだ私が借りたやつじゃん…



絶対わざとだ。



夫:じゃあ乾杯すんぞー


男6人。
…来るかと思ったのに、不倫相手の子
そもそも社内の子なのか？


ビール片手に凝った料理に手をつける部下達

若い上に食べ盛りの為スピードが速い。
ニコニコと食べる姿癒されるわ…


神木:奥さんは飲まないんですか？

「え？あ、私はお酒苦手だから…」


リビングのテーブルからキッチンにいる私に気を遣って話しかけてくれた、吉沢君の隣の彼


ガタッ


『何か手伝いますよ。』

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