熱帯魚 ページ28
カツカツ…
「ねえ、今どこ?」
彼に電話しながら土産売り場を歩いた。
浴衣姿の観光客で賑わう中、人に紛れながら吉沢君を探した
『団子屋の前』
「団子?」
顔を上に上げて屋台や旅館の中から団子屋を探す
…どれ?
歩いても歩いても、吉沢君はいなかった
『あ、見つけた』
電話越しと
背後から遅れて声が聞こえた
「…っくりした。」
『お前見つけるの、上手いかも。』
「?何で?」
『団子一緒に食おうよ』
ザザーー…
『足滑らせんなよー』
「いけるー」
海岸に腰掛け、吉沢君の買った団子のパックを開けた。
「えー何味買ったの?」
『みたらし』
「まじで!みたらしが一番だねー」
『お前あんこ無理だもんな』
覚えてたんだ〜
「ちゃんとご飯食べなよー?」
『はいはい』
いいなぁ〜こういうの、
海の見えるところで和菓子なんて
良い感じの洋画でありそう
機嫌良さげにお団子食べる吉沢君。
インスタ映えしてるわあ〜
私はこういうところが好きだ。
誰かと一緒にいても、自分の世界にいる
群れることを嫌う
水道水の中で生きることを嫌う熱帯魚のような姿
「…熱帯魚みたいだよね。」
『俺?』
「うん。ネットで読んだのかな?特別な水の中でしか生きられない、熱帯魚。まさに吉沢君だね〜」
『じゃあ、その水はAだと思う。』
「…ん?」
隣でそう言った吉沢君の言葉の意味。
言葉の意味を解読するのに少し時間がかかった
『…何』
私がじっと見てると眉間にしわを寄せてきた
「ん?それはどういう…」
『…今朝の電車、起きてたんだけど。』
ん???起きてた?
…は?
あのあんたが片想いしてた子の話ししてた時?
「え、え、ねえ私と同じ高校の子好きだったの?」
『は?』
「ねえ誰にも言わないから〜1年?2年?」
『…キモいって言われるからもう言わない』
キモい?
いや、あんたにキモいなんて言わないから!!
手を顔の前で合わせて、懇願するとやっとこっちを向いてくれた
・
『……俺が好きなの、お前。』
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ピュレ子。(プロフ) - Twitterの頃からのファンです。こうして君との時間。さんの作品をまた読むことが出来て嬉しいです。これからも応援しています。 (2018年9月3日 21時) (レス) id: ed2bf72aea (このIDを非表示/違反報告)
あやの(プロフ) - いつも楽しみに読ませて頂いていたお話が終わってしまって寂しい反面、ハッピーエンドの展開良かったです!次のお話はコンビニ店員の話希望します◎次回も楽しみにしてます! (2018年7月30日 0時) (レス) id: fd3ddb9b33 (このIDを非表示/違反報告)
S&G(プロフ) - コンビニですね! (2018年7月29日 23時) (レス) id: 176a693eed (このIDを非表示/違反報告)
かな - 両方見たいですが、年の差が見たいので前者で! (2018年7月29日 23時) (レス) id: d49b5e87b2 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - ハッピーエンドがいいです、 (2018年7月28日 10時) (レス) id: cc804e6f7c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:君との時間。 | 作成日時:2018年7月14日 15時