souko (ページ23)

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【OP：キッド】ゆめ…？④ ページ23

「分かった、探しゃいいんだろ。地図もねえのか」

青ざめるヒップとホップ姉妹。
マジであの女、俺のクルーを尽く攻略していったらしいな。
面倒くささがまだ勝ってるが、現場指揮だけでも取ってやろうと近くにいたヒートに問うた。

「人っ子ひとりいねえから、地図もなんもないっす」
「チッ、5時間か。それなりの距離進めるとしても、この雨ん中を歩き続けられるようなタマじゃねぇだろ。船からいいとこ2、3キロ範囲をまずは全員捜索に当たれ。泳げる奴らは水没したとこ中心にだ」
「押忍！」

散り散りに簡素な屋根の下から飛び出していく野郎ども。
そんな中、キラーが寄ってきて「俺たちはどうする」と聞いてきた。

「お前はここで待機してろ。どいつか戻ってきたら、次の指示してやれ」
「キッドは？」
「俺は…」

ちらりと、この島に着いてからずっと気になっていたそれへ視線を向けた。
生える巨大な蕾が徐々に開花し、今では四葉がしっかり開ききっている。
その大きすぎる葉の隙間から見える、まるで重力に逆らうように空へ突き出した岩のような山。

「偵察に行ってくる」

意図的に切り出されたのか、自然のなせる技なのか。
あまり見掛けねえ地形が、あの作家モドキを釣るには充分な気がして、俺は雨の中へと足を踏み出した。

ガサガサと近くの草が揺れる音がする。
かと思えば少し遠く、あるいは前と後ろ同時に。
何かが私の周りを囲んでいる気がして、気持ちが焦っていく。

ネタをまとめていたら、いつの間にか座っていたところが水溜まりのようになってきていて、慌てて船へ戻ろうとしたけど、帰り道が分からない程度には地面が水没してしまっていた。
だから島の中心部へと逃げたんだけど、今度は生い茂る巨木や草の隙間から、何かに見られている気がしてならない。

野生動物？もしくは人？
人だとありがたいけどな…

そんなことを思いつつ、凶暴な獣に出くわしたら困るから、音からほどほどに距離をとって逃げ続けていた。

そうこうしているうちにどれだけの時間と距離を進んだんだろう。
船を繋いだ海岸から離れ、ほとんど島の中心へ来てしまっていた。
この島のログポースがどれほどで溜まるかなんて聞いてないし、いい加減キッドも今回を機に私を置いていったんじゃないだろうか。

そんな考えが頭をよぎった時。

目の前の草むらが揺れて、ずいぶんと体の大きな何かが飛び出してきた。
ギョッとしたけど、よくよく見るとそれは幽霊でも猛獣でもなく、海賊だった。