souko (ページ11)

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【OP：キッド】ゆめふえる③ ページ11

どうしたいんだ、なんて聞かれると、回答に困るのが事実だった。
正直に言うとこの船は居心地がいいし、クルーのみんなとも仲良くなりつつあったから、名残惜しい気持ちもある。
でも、今までだってそういう別れを繰り返しながら旅をしてきたし、自分の夢のために進んできた。

出会いがあれば別れがある、なんて、当然のことだ。

「どっちでもいいよ」

船に引き続き乗せてくれるなら、キッドたちの航路でモジモジの実を探すだけだ。
それが無理なら、次の島で降りてまた1人で航海しよう。

素直に思ったことを答えただけなのに。

ガチャン、と重い装填の音がこめかみの辺りでした。
見たらいつもキッドが腹に装備しているピストルが、私の脳天に狙いを定めていて。

「そんな答えは聞いてねえ」
「...そうは言っても」
「乗るか、降りるか。答えは二択だ」

選択を恐怖で迫ってくるのは、あまりに海賊らしいやり口だ。
昔から彼は他人に容赦がなかったし。
もしかしたらここで答えを間違えてしまったら、私の海の藻屑になるのかもしれない。
そう思ったらさすがに肝が冷えた。

「うーん...」

とはいえ、本当にどちらでも良かったし、結果はなにも変わらない。
彼が何を求めているのか、それが分かればそれを元に回答を出すのに、と思ったところで、だいたい何故こんなに怒っているのか、と疑問に思った。

「もしかしてキッドさん怒ってる？」
「は？」
「うんごめん、怒ってるね。でもさ、どうして？」

そんなに怒らせることしたかな。
たしかに成り行きで船に乗せて貰うことになったけど、クルーとも仲良くやってたし、航海の邪魔にならないように気をつけてる。
そこまでキレられる理由が見当たらないんだけど。

「たぶんだけど」

そんな私を見兼ねたのか、1番近くにいたクインシーが囁いてくる。

「あんたを降ろしたくないのよ」
「え、なんで？」
「少しは察しなさいよね」
「うん、ごめんほんと分かんない」

もういっそはっきり言って欲しい。
回りくどいのはキッドも好きじゃないくせに。
そう言う意味で顔を顰めたら、私より何倍も怖い顔の彼が赤い目で睨んできた。

「…テメェ、タダで乗っといて、はいサヨナラって降りる気だったのか？」

それこそ地を揺するような恐ろしい声でそんな事を言うから。

「そんなこと？」

なんて、驚きと一緒に飛び出てしまって。

「おいコラ煽んじゃねえよバカ！」
「あんた死にたいの？！」

青い顔した皆に服を掴まれ倒れそうになる。