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二人で並んで座り、満天の夜空を見上げていた。
当然のように隣にいる千空が気になって仕方ない。
彼のあの言葉は告白なのだろうか。
自分の言葉に直さずセリフ口調で言ったのだから、きっと。
それに返した私の言葉は伝わったのかな。
静かに月を見る千空の横顔を盗み見る。
夢だったり、しないよね。
「百夜がな」
ふと千空が言葉を零した。
百夜というのは確か、千空のお父さんの名前だ。
「あの村を作った創始者だった」
「え…？」
「石化した瞬間、あいつは宇宙にいたからな。そこから地球に戻ってきて、あの村を作ったらしい」
それは石化して間もなくの話だという。
ということは、千空のお父さんは、もう…。
かける言葉が見つからずにいたら、彼は笑って「慰める必要はねえ」と言った。
「百夜が残した土産を使って、この世界でまた宇宙を目指す」
「…うん」
「そのためにはA。お前が必要だ」
いや、違うな。と彼が珍しく言葉を選んだ。
「そんなんなくてもお前が必要だわ」
自信たっぷりに笑う彼にドキドキした。
わざわざ言い直してくれるのは、私が手段でしかないと誤解しないため？
「…月が輝くのは太陽のおかげでしょう」
素直に言葉にするのが難しい私は、すぐに言葉遊びに逃げてしまう。
大樹のように、直球で言えたらどんなにいいか。
「私にとって、千空、あなたは太陽だよ」
あなたがいなければ私は1cdも輝けないんだ。
クククと楽しそうに笑う彼は、容赦なく私の頭をぐしゃぐしゃにした。
「太陽は月がなけりゃ地球の半分しか照らせねえんだ。どれだけ月の存在がでかいのか、言わなくても分かんだろ」
乱された髪の隙間から見る彼のガーネットは優しく、彼もまた言葉遊びが上手なのだと、自分で投げておきながらずるいと思った。
絶対好きとは言わないんだろうな。
ただ、科学を愛した彼の、頑なに人類を映さないガーネットが私を映してくれている。
嬉しいはずなのに、ちょっとだけ不安もある。
本当に本当なのか。
結婚ですら蔑ろにできる人なのに。
私の考えを読み取ったかのように、千空はこれでもかと面倒くさそうな顔を見せた。
それからなんの前触れもなく私の腕を引き、ぎゅ、と抱きしめた。
彼の、太陽の息遣いが聞こえる。
しかしそれも束の間のことで、ぱっと離された体がよろける。
颯爽と立ち上がった彼は、情緒もなにもなく歩き始めた。
「さーとっとと帰んぞ」
「あ、まって！」
彼の背中を追いかける関係は、まだまだ続きそうだ。
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ゆき(プロフ) - ワワワワーー！！こんな素晴らしい作品を無料で読めるなんてぇぇ😭人間らしいどろっとした感情を持ってるヒロインちゃんとても好こです😭💕 (4月23日 7時) (
レス) @page5 id: 08845739b4 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 麦面さん» コメントありがとうございます。拙い文章で感動していただけてとても嬉しいです。まだまだ先が長い物語ですが、気長に読み進めていただけると幸いです。よろしくお願いします。 (11月15日 8時) (レス) @page4 id: 90b12c249d (このIDを非表示/違反報告)
麦面(プロフ) - 夜中にギャン泣きしてしまいました…最高です…素敵な作品をありがとうございます(´；ω；｀) (11月15日 3時) (レス) @page8 id: 4d90f1fed8 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - ななしさん» 書き込みありがとうございます。あんまり自分から行動しなさそうな彼ですが、締めるところは締めるのかなと思って書きました。喜んでいただけて良かったです。まだまだ続きますので、最後までよろしくお願いします。 (2021年2月9日 9時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 最後の千空に抱きしめられるところでキャ〜〜〜〜〜〜！ってなりました…良い作品をありがとうございます…更新楽しみにしております…睡眠をとってご自愛ください…！ (2021年2月6日 3時) (レス) id: 5ea69e87e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2019年12月17日 0時
