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「心配してくれてるの」
頷きもしないスタンドは膝を抱えたまま動かない。
でも私の涙が頬を流れたのを見たところで、ゆっくり腕を上げてなにかを差し出してきた。
それはさっき、承太郎さんに打ち込まれた弾丸だった。
けど色が今度は淡い黄色をしている。
クローゼットの扉の隙間から差し込むわずかな光を反射して煌めくそれを、私は迷わず飲み込んだ。
喉を通って食道を通る頃には、さっきまで襲いかかってきていた恐怖や苛立ちや悲しみ。
いろんな負の感情がない混ぜになったものがすうっと消えていく気がした。
どんなに辛くても大丈夫。
だってこの家の外にさえ出れば、あの男の資料にはならない。
それに、外には仗助がいるもの。
「そういう使い方もあるなら、いちいち撃ち込む必要ないじゃない」
口がきけないスタンド相手に話てもどうしようもないと分かってる。
私の意思とか精神から生まれたというから、この子と会話するのはつまり自問自答に等しいんだろう。
でも、こうも人型をされると口が滑るように言葉を紡いでしまう。
「他人をいきなり指差しちゃあダメ」
相変わらずスタンドには触れなくて、手を握ろうにもスカスカ浮いてしまうけど。
「感情の支配なんてしたくない。私はただ、自分の気持ちに正直になりたいだけよ」
物心ついた頃には気持ちに蓋をする術を覚えてしまっていた。
だから仗助にだって好きと言えず…ううん、仗助じゃなくても、普通の人との付き合いだってうまくいかないんだわ。
「相手をコントロールしようとしたらあいつと同じになる。そんなことダメ。私は、私の気持ちを大切にしたいの」
「わかる？」と問いかけても目の前のスタンドは微動だにしない。
他人事のように言っても意味がないんだ。
自分の意思で動かせるなら、自分の意思で、このスタンドをそういう使い方しなければ良いんだもの。
「きみのこと触れないのは、私が自分の気持ちをうまく掴みきれてないからなのかもね」
仗助も承太郎さんも、当たり前のようにスタンドに触れていた。
いつか、自分で自分の気持ちに正直になれたとき、私はこの子に触れるようになるのかもしれない。
そう思った。
「クレイジーダイヤモンドだって。どういう名前の付け方なんだろう」
クレイジーもダイヤモンドもどういう意図でついたのか分からない。
じっと私を見つめる私のスタンドを見つめ返す。
「じゃあきみの名前は、バージンエモーション、かな」
生まれたばかりの私の感情、だから、ね。
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sora(プロフ) - 雪姫さん» 「星の息」と「ジュエリーテイルは溢れ出す」のどちらもを更新し続けたいと思います。以前ほどのハイペースな更新はできていないので、気にせずのんびり養生ください。また雪姫さんが読みにきていただける日をお待ちしています。よろしくお願いいたします。 (2020年12月5日 22時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 雪姫さん» 書き込みありがとうございます、もちろん覚えていますよ。しばらくご意見を頂けていなかったので、お忙しいのかと思っておりました。まさか病気とは思わず…これからより一層寒い時期になりますし、まずはご自愛頂ければと思います。私の方ものんびりではありますが→ (2020年12月5日 22時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - ジョジョの通知が来ていた時はとても驚きました。まさか、soraさんだとは思わなくて。四部も大好きなので、無事病気が完治した(緩和した)時には読ませて頂きたいなと思っています。長らく読めていませんが、今でも彼女が本当に大好きです。ずっと応援しています。 (2020年12月5日 0時) (レス) id: 10ca58f2a4 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - 覚えてくださっているのか分かりませんが、お久しぶりです。最近病気の関係で文章を追うのが難しくなってしまい、大好きな博愛の賢者の行先を見届けられていないのが辛く、このサイトからも離れてしまっていたのですが、久々に少しサイトを開き、お気に入り作者の新作と (2020年12月5日 0時) (レス) id: 10ca58f2a4 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 豆腐の角さん» こんばんは。書き込みありがとうございます。自分でも新しいジャンルに手を出したなあと思っています。バトルはあまり得意ではないので、バトル以外のところに重きをおいて描いていきたいと思います。時期的におかしなチョイスですが、この小説もよろしくお願いします。 (2020年8月26日 22時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年8月25日 16時
