35 ページ36
「ま、また！」
何故か仗助に照準を合わせる彼女のスタンド。
よく観察していると、スタンドの胸元に埋め込まれている宝石のようなものが一つ、その体の中へ埋まっていった。
みるみるうちにさっきまで普通の指だった人差し指が、銃口のように変形していく。
慌てて立ち上がるAさんが自分のスタンドを止めようと掴みかかった。
が、まるで雲でも掴むようにスカスカと空を切り、触ることができない。
スタンド使い本体がつかめないスタンド、だと？
銃弾の威力がクレイジーダイヤモンドより弱いことを知っている仗助は、慌てるAさんを宥めようとする。
それを無視して彼女のスタンドは仗助の胸の中心へ向けて弾丸を放った。
予想通り、その弾丸はクレイジーダイヤモンドの拳で粉砕され、それ以降、彼女のスタンドは動きを止める。
まだ胸元に弾丸が残ってるっつーのに、なぜ攻撃をやめた？
ごめんと何度も謝る彼女の前、テーブルに散った弾丸のかけらを摘めば、やはりこのスタンドの胸元についている宝石みてえなものが弾丸になっていると分かる。
「仗助、これを直せるか」
「気にすんな」と落ち込む彼女に声をかける仗助。
不思議そうに片眉をあげたまま、弾丸が徐々に元の形へと戻っていく。
コロンと真っ白なテーブルクロスの上に転がったそれは、ハート型にカットされた宝石のような弾丸だ。
淡いピンク色が太陽を反射してキラキラとひかる。
彼女自身も初めてしっかりと見たのか、まじまじとテーブルの上のそれを見た。
「…これを撃たれるとどうなると思う？仗助」
「さあ…でもスタンドに向かって攻撃しねえとこ見ると、人間を操ったりする能力…なんスかね」
「撃たれるだけじゃあなく、体内に取り入れても同じ効力なのか。それとも触るだけでいいのか」
「この前俺も直して拾いましたけど、何にも起こらなかったし1分足らずで溶けましたよ」
「溶ける？」
なら能力の持続時間は少ねえのかもしれない。
えてして、そういうものほど強力な力を持っているもんだ。
ちらりと彼女のスタンドを見ると、硝煙もおさまった指先は元どおりになり、静かに佇んでいる。
胸元に見える宝石は全部で8つ。
それぞれ同じ形はしているがどれも透明で一見ダイヤモンドにも見える。
「…仗助、お前が前打ち込まれた弾は何色だった」
「え、同じ色っスよ。そのピンクのやつ」
「同じ色…」
この色の違いが何か関係してんのか？
乱射攻撃しなかったのは弾数を考慮してじゃないとしたら？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 169人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sora(プロフ) - 雪姫さん» 「星の息」と「ジュエリーテイルは溢れ出す」のどちらもを更新し続けたいと思います。以前ほどのハイペースな更新はできていないので、気にせずのんびり養生ください。また雪姫さんが読みにきていただける日をお待ちしています。よろしくお願いいたします。 (2020年12月5日 22時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 雪姫さん» 書き込みありがとうございます、もちろん覚えていますよ。しばらくご意見を頂けていなかったので、お忙しいのかと思っておりました。まさか病気とは思わず…これからより一層寒い時期になりますし、まずはご自愛頂ければと思います。私の方ものんびりではありますが→ (2020年12月5日 22時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - ジョジョの通知が来ていた時はとても驚きました。まさか、soraさんだとは思わなくて。四部も大好きなので、無事病気が完治した(緩和した)時には読ませて頂きたいなと思っています。長らく読めていませんが、今でも彼女が本当に大好きです。ずっと応援しています。 (2020年12月5日 0時) (レス) id: 10ca58f2a4 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - 覚えてくださっているのか分かりませんが、お久しぶりです。最近病気の関係で文章を追うのが難しくなってしまい、大好きな博愛の賢者の行先を見届けられていないのが辛く、このサイトからも離れてしまっていたのですが、久々に少しサイトを開き、お気に入り作者の新作と (2020年12月5日 0時) (レス) id: 10ca58f2a4 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 豆腐の角さん» こんばんは。書き込みありがとうございます。自分でも新しいジャンルに手を出したなあと思っています。バトルはあまり得意ではないので、バトル以外のところに重きをおいて描いていきたいと思います。時期的におかしなチョイスですが、この小説もよろしくお願いします。 (2020年8月26日 22時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sora
| 作成日時：2020年8月25日 16時
