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「この島の外から来たという何よりの証明でしょう」
得体の知れない女。
今はそんな印象を植え付けられていればいい。
底が知れないほどに、人はその人のことが頭から離れなくなる。
…結局、やってること『私』と変わんないや。
記憶がなくなろうと、私は『私』らしい。
釈然としないキリサメは、諦めたように小さく息を吐いて、さっきまでの苛立ちを消し去った(むしろ少し疲れたような)眼差しを向けてきた。
「まるで別の生き物と話している気分」
「ありがとう？」
「褒めてない」
年相応な反応を返してくれるのが嬉しくて、思わず少しはにかんだ。
彼女は変わらず無表情だけれど、石化武器を持って他人を石にしてしまうなんて、今の彼女からは想像もつかない。
「同じ言葉なのに通じてないみたい」
「それは私があなたより言葉を知ってるだけだよ」
窓に近寄ってきたキリサメ。
私が少し横に避けると、腕1本分は距離を保ったまま、空に浮かぶ月を見上げた。
「あなたにはあの光も別のものに見えるの？」
「別のもの？」
「イバラ様以上に多くのものを知ってる人は初めて見た。あなたはあるけみすとなのでしょう？」
わあ、あまりにも大それた呼び名がついてしまった…
「アルケミストではないよ」
確かに、星の息遣いを感じたいとは思う。
けれどアルケミストのように金を生み出す術も、科学的知己も、私にはない。
それを言うなら、石神千空のほうがよっぽど錬金術師だ。
掌に収まるこの鏡も、インクも、ガラス瓶も、この何も無い世界で、けれど確かに等価交換で生み出してきたのだから。
「じゃあ、けんじゃ？」
純粋に問いかけられたそれに、思わずキョトンとしてしまった。
きっと彼女にとっては私の素性を調べているだけに過ぎないのだろうけれど。
「ふふふ。賢者も大それているけれどね」
『彼』が『私』を『博愛の賢者』と呼称していた。
そのせいか、何故かその呼び名は否定する気になれなかった。
イバラやモズに感じる威圧感や緊張は、キリサメに対してほぼ皆無なほど感じなかった。
彼女も私の対応にすっかり毒気を抜かれたのか(それとも核心に触れることを何も答えないせいか)、最初に感じた警戒心は大分薄れているようだった。
絶妙な距離を保ったまま窓辺に並んで立つキリサメ。
彼女から視線を外して、たまに集落の炎が見える深林の海を眺めたとき、チカチカと視界の端に光の点滅を捉えた。
あれは…
暗い森の中で明らかに意図を持った光がキラキラしていた。
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sora(プロフ) - 北さん» いるように、きっと強い重力が働いているのではないでしょうか。そういう2人であって欲しいと私は思っています。原作自体一人ひとりの魅力が強い漫画ですので、彼女も同じように恒星になれたら嬉しいです。応援ありがとうございます。北さんもお体ご自愛ください。 (2020年8月30日 15時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 北さん» いつも書き込みありがとうございます。彼女も少しずつ成長をしているのかもしれません。記憶がないからこそ自分の二本足でしっかりと立ち、自分のいく末を選択するんだと思います。でも潜在意識というものが人にはあるとも思っていて、生涯のパートナーを直感で選ぶ人が (2020年8月30日 15時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
北(プロフ) - また心から笑い合える日を待っています。これからも応援しています。無理のない程度に頑張って下さい。長文失礼致しました (2020年8月30日 15時) (レス) id: c788d63342 (このIDを非表示/違反報告)
北(プロフ) - もしれません。もし私が彼女の立場であったら、簡単に千空を信じられないでしょうし、自ら行動なんて起こせないでしょう。sora様の描写の素晴らしさもあってか、いつもより強く感じます。素敵です。けれど、やはり記憶が戻って欲しいのもまた事実。千空と愛史ちゃんが (2020年8月30日 15時) (レス) id: c788d63342 (このIDを非表示/違反報告)
北(プロフ) - 完結お疲れ様です。実を言えば記憶のある愛史ちゃんよりも記憶のない愛史ちゃんの方が好きだったりします（勿論どちらも好きですが）惚れたと言いましょうか、、、。自分の記憶がないのにも関わらずいつも通り、いや、それ以上に真っ直ぐで頭の良い彼女に憧れているのか (2020年8月30日 15時) (レス) id: c788d63342 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年8月2日 17時
