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時間にして半日足らず。
まだ記憶に新しいうちに戻って来てしまったツリーハウスを、モズの腕の中から見上げる。
「おじちゃんは最初に頭首様へ報告に行ってくるから。Aちゃんのこと部屋に連れて来てネ、モズ君」
「はい」
アンバランスな渡板を颯爽と歩いていくイバラ。
どんどん遠ざかっていく背中とは逆に、見張りの番兵達が新しい後宮見習い達を歓迎していた。
ふと、その中で一際体の大きな男がいるのに気づく。
見覚えがある男だ。
確か昨日、私の部屋に最初に踏み入ってきた男のはず。
男は後宮見習い達によく見えるよう、石像を一つ部下に運ばせてきた。
「あれって…」
まさか
よく顔を見るより先に、巨漢は固く拳を握って石像を勢いよく破壊してしまった。
粉々に砕けたそれを見た瞬間、胃の中のものが競り上がって来るように息が詰まり、思わず口を押さえる。
そんな私を不思議に思ったモズが、ちらりと視線を巨漢へ投げた。
「クウ〜〜！見・た・か！このオオアラシ樣のミラクルパンチ！どう見ても島No.1だろ、このミラクルパワー！」
「その石像の男は愚かにも、自分の娘を後宮から逃げさせようと侵入した！」
ゴロリと床に転がった人の顔。
石色の眼差しと目があって、咄嗟にモズの肩に額を当てて視界を閉ざす。
「そういうワルい奴のまつ…マツ？松の？」
「末路です」
「それな！逃げようとか思うんじゃねえぞお前ら！」
両手で強く口を抑えないと、何も入っていないはずの胃をひっくり返してしまいそう…！
自分でも顔が青くなっていることが分かった。
「んー。Aちゃんは結構臆病なんだねえ」
両手が塞がって抵抗できないのをいいことに、モズの大きな掌が背中をいやらしく撫でてくる。
鳥肌が立つし、具合も悪いし、気持ち悪い。
自分達がやっている行為が、いったい何を意味するのか分かってないとでもいうの？
「…人でなし」
強く睨め付けても、モズはけろりとした顔のままで。
「カワイイのに口が悪いよ」
あなたにカワイイと言われても、何も嬉しくない。
啖呵を切りたくても、口を開けば吐いてしまいそうで、ただ睨むだけに留める。
迷わず進んでいくモズは、頭首が住むだろう家屋に近い小屋へ私を連れていった。
天守閣に比べて質素だけれど、それなりにしっかりとした作りだし、何より広い。
天井の高さもそこそこあって、ここがイバラの部屋だということがすぐ分かる。
そこにはイバラの姿がなく、まだ頭首に報告をしているようだった。
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sora(プロフ) - 北さん» いるように、きっと強い重力が働いているのではないでしょうか。そういう2人であって欲しいと私は思っています。原作自体一人ひとりの魅力が強い漫画ですので、彼女も同じように恒星になれたら嬉しいです。応援ありがとうございます。北さんもお体ご自愛ください。 (2020年8月30日 15時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 北さん» いつも書き込みありがとうございます。彼女も少しずつ成長をしているのかもしれません。記憶がないからこそ自分の二本足でしっかりと立ち、自分のいく末を選択するんだと思います。でも潜在意識というものが人にはあるとも思っていて、生涯のパートナーを直感で選ぶ人が (2020年8月30日 15時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
北(プロフ) - また心から笑い合える日を待っています。これからも応援しています。無理のない程度に頑張って下さい。長文失礼致しました (2020年8月30日 15時) (レス) id: c788d63342 (このIDを非表示/違反報告)
北(プロフ) - もしれません。もし私が彼女の立場であったら、簡単に千空を信じられないでしょうし、自ら行動なんて起こせないでしょう。sora様の描写の素晴らしさもあってか、いつもより強く感じます。素敵です。けれど、やはり記憶が戻って欲しいのもまた事実。千空と愛史ちゃんが (2020年8月30日 15時) (レス) id: c788d63342 (このIDを非表示/違反報告)
北(プロフ) - 完結お疲れ様です。実を言えば記憶のある愛史ちゃんよりも記憶のない愛史ちゃんの方が好きだったりします（勿論どちらも好きですが）惚れたと言いましょうか、、、。自分の記憶がないのにも関わらずいつも通り、いや、それ以上に真っ直ぐで頭の良い彼女に憧れているのか (2020年8月30日 15時) (レス) id: c788d63342 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年8月2日 17時
