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龍水の言った通り、10分もしねえうちに外は土砂降りになった。
服の中まで浸透してくる冷てえ雨の中、最後の材木に革布を被せていたら、龍水がもう片端を持って引き上げる。
「フゥン、遠洋でこんな嵐をくらったらお終いだな！」
そして丸太の状態を確認するように指を這わせ、真剣に見極める様子はさっき膝をついて絶望していた姿からは程遠い。
「そもそも木材が弱い！人間が間引いて何十年かけ育てたものとは違う。この帆だけで地球の裏までは博打がすぎる！」
的確な指摘してきやがる。
ただ趣味で帆船を乗り回してたってわけじゃなさそうだ。
さっきの気候学といい、船の知識、経験…相当のやり手だということが分かる。
「だろうなァ。帆と動力ハイブリッドの機帆船にする」
そうなのかと驚くクロム。
ああ、確かテメーは設計図書いてる時いなかったから知らねえんだな。
何食わぬ顔で答えた俺を、ずぶ濡れの龍水が楽しそうに口角を上げながら振り返った。
「千空、貴様俺を試したな！安請け合いするマヌケかどうか。生意気な奴だ、七海財閥に欲しかったぜ…！」
過去形で話すあたり、よく現実見えてんじゃねえか。
「動力はなんだ？貴様らが炉に使ってる低品質の石炭か？そんなゴミじゃ重量だけで船が沈むぜ」
「…」
「だが燃料さえまともなら、俺が必ず地球の裏まで運んでやる！」
まともな燃料が条件だと提示する龍水。
この男の性格上、タダで動かねえことは明白だった。
だから、何かしらの取引を持ちかけられるだろうとも予想してたが。
それ以前に、Aの案を機帆船にした時点で、燃料をどうする問題は頭にあったわけだしな。
「あ〜なんのこった。俺は科学とか苦手だからチョットな〜」
あえて分からねえフリをしてみせるが、呆れるクロムとゲンを見もせずに、龍水の確信を持った声が響く。
「はっはー！とぼけるな。分かっているだろう千空。俺の欲しいものが…！」
雨が降り始める前にギリギリ対策を終えて、みんなそれぞれのテントに戻っている。
そんな中でも千空や龍水たちが船の様子や材木の状態を確認しに行ってしまった。
なので私はテントには入らず、そそり立つ岩と岩で出来た小さな洞窟に、羽京たち他数名と一緒に雨宿りをして待っていた。
ざあざあと振り続ける雨。
うるさい程吹き荒れる風。
視界も霞むそれを安全な場所から眺めていると、やがてずぶ濡れになった千空たちが洞窟へ転がり込んでくる。
すかさず用意しておいた乾いた布を手渡した。
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sora(プロフ) - さやなぎひまりさん» ご感想ありがとうございます。Dr.STONEから初めて知ったバンドでしたが、とても綺麗でどの曲も彼らに合っていて、少しでも多くの人にその世界観を感じてもらえたらと思っています。共感いただけて嬉しいです。まだ先は長いですが最後までよろしくお願いします。 (2020年7月10日 10時) (
レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
さやなぎひまり(プロフ) - 私がアプリでちまちま読んでやっと追いついたところなのですが、作者様が文学と青春を歌うあのバンドをいかに大事になさっているのかが良く伝わってきました。たしかにあのフレーズは彼を思い出させますよね、大いに共感しました。 (2020年7月10日 9時) (レス) id: 1c54ce4927 (このIDを非表示/違反報告)
sora(プロフ) - 雪姫さん» 書き込みありがとうございます。宜候！素敵な歌で好きです。受験生ということで日々大変かと思いますが、遠くから応援しています。変わらず更新し続けていきますので気長に追いかけていただければ幸いです。2人の関係の変化をこれからも楽しんでいってください。 (2020年3月1日 23時) (レス) id: 1d20492120 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - やっぱり黒曜石可愛いです......!!!!千空と龍水に虐められて拗ねちゃう姿が年相応で微笑ましくなります。続きが気になります......!!!!!! (2020年3月1日 23時) (レス) id: 10ca58f2a4 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - 宜候！端々の芸が細かくてついつい笑ってしまいます。受験生なため、勉強食事睡眠に一日を費やしていて更新を追えない状態ですが今でも楽しみにしています。早く最新話に追いつきたいです。 (2020年3月1日 23時) (レス) id: 10ca58f2a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sora
| 作成日時：2020年2月9日 23時
