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降谷side
『降谷』
俺の車で警察庁に戻っていると助手席に座っていた早川がぶっきらぼうに言った。
「なんだ」
運転をしながら対抗するようにぶっきらぼうに答える。なかなか返事が返ってこない。痺れを切らした俺はもう一度「なんだよ」と聞いた。
『………………助けてくれて、ありがと』
「………………は?」
思わず気の抜けた声を出してしまう。
プライドの塊のような早川が俺にお礼を言うなんて明日は槍が降るかもしれない。
『なによその気の抜けた返事!この私がお礼を言ってんのよ!』
「いや、お前他人に感謝できたんだな」
『失礼ね!言わなければよかった!!』
俺は随分彼女に惚れているようで、車を運転しながら『ありがと』という言葉を思い出してニヤニヤしてしまう。
『何ニヤニヤしてんの。キモイよ』
「あぁ、そうだな」
『意味わかんないんですけど!』
「まだ、分からなくていい」
俺がにやにやしてる理由が分かってしまったらきっとお前との距離が遠くなる。
まだ、この気持ちは伝えなくていい。
まだ、お前は分からなくていい。
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なみ - とっても面白いです。更新楽しみに待っています!!続きが楽しみです! (2019年8月8日 10時) (レス) id: 0ffda98372 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO - 面白いです!更新待ってます! (2019年4月14日 21時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
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