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降谷に助けてもらいたくなんてなかった。私のことを見下してる奴に助けてもらうなんて屈辱だ。それに、あの通り魔事件の時の少年がいなければ私は死んでたかもしれない。それも私からすれば屈辱で、そんな事だったら死んだ方がマシだ。
『私が捜査でミスをしたんだからこれは私の責任よ!!助けなんていらなかったわ!!』
降谷や自分への怒りが爆発し、降谷以外の人間がいるにも関わらず私は大声で怒鳴った。
猫を被るなんて、今の私には出来そうもない。
『迷惑なのよ!なんで助けたの!』
こないで!私の言葉に耳を貸さずに、降谷は目の前に立つ。
私に叱るの?私に怒鳴るの?私を叩くの?私の首を絞めるの?何をされるのかと考えて思わず降谷を睨む。
『降谷なんて大きら…………』
大嫌い。そう言いかけた瞬間、降谷が私を抱きしめた。
「………………無事でよかった」
その言葉に嘘なんてひとつもないように聞こえた。あぁ、純粋に私のことを心配してくれていたんだ。そう思ったら怒る気力なんてなくなってしまった。
『降谷のバカ、バカ、大バカ』
私はその言葉を発するのでさえ苦しかった。なんて言えばいいのか分からなかった。お互いに嫌いと言い続けて何年も経つ。そんな彼が私を心配して抱きしめるなんてありえない。
「生きてて、よかった」
降谷の抱きしめる力が強くなる。私はついに安心して涙が溢れだしてしまった。本当は怖かった。助けて欲しかった。でも、言えなかった。
他人の目なんて気にせず、私達はしばらく抱き合っていた。
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なみ - とっても面白いです。更新楽しみに待っています!!続きが楽しみです! (2019年8月8日 10時) (レス) id: 0ffda98372 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO - 面白いです!更新待ってます! (2019年4月14日 21時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
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