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分かったことは那須は朝が苦手ってことと、
寝癖はいつも左後ろの決まった場所にできるってことだ。
那須の無防備な朝の姿を見られるのはすごく嬉しかった。
帰りはいつもの海沿いの道を走る。
この道だけは潮風が冷たくてこの暑さを忘れられる。
浮所「そう言えばもう少しで夏休みだね。」
那須「そっか。はやいな。夏休みに入ったらいい加減
自転車直すよ。」
え…もし、那須の自転車が直ったらおれたちのこの時間が無くなる…のか。
那須「新しいの買いたいけどここらへんは海が近いからすぐ錆びるんだよな。」
浮所「そんな急ぐなよ。別におれは大丈夫だから。」
那須「何言ってんの?笑ただいつもに戻るだけだよ。」
”ただいつもに戻るだけ”那須にとってはそれだけ。
俺にとっては…
那須「どした?急に黙って」
おれは勢いよくブレーキを握った。
那須「おわ!おい急に止まるなよ!」
浮所「那須は…那須は…」
− 那須は…寂しくないの? −
言えなかった。
俺の那須への気持ちは曖昧だったし、ただの友達だから。
しかも登下校が一緒なだけだ。
別に那須の中で特別になりたいなんて思ってない。
ただこの時間が那須にとっても楽しいと思ってた。
気まずくなってまた俺は自転車を漕ぎ始めた。
那須はなにも聞いてこなかった。
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作者名:くれあ | 作成日時:2021年6月12日 17時