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「待って、一緒に帰るんでしょ?」
「え?そうなのか?」
「は?」
「え?こんな時間に可愛い後輩だけで帰らせるつもり?」
形良い眉を寄せ言い放ったAの言葉に、円堂は不思議そうな顔をし、弟は固まる。まぁ確かに、言われてみればその通りである。
「…守、秋、鞄は?教室?」
「?おう!」
「は、はい!」
「ゆっくりでいいから、取っておいで。昇降口で待ってるから。」
「分かった!」
「あ、円堂くん!待って!」
弟の言葉にそう返事をしながら円堂は校舎へと走っていった。忙しない子である。秋は軽く会釈して、円堂を追いかけて行く。彼女も苦労するな、そんな事を考えながら弟達も昇降口へ荷物を持ち、向かっていった。もう、辺りは茜色に夜の帳が降りてくる夕暮れの空だ。
「……これでいいの?」
昇降口の壁に寄りかかる彼。
西日が差し込み影が差す其処で少し、不機嫌そうに腕を組む弟はそう言った。
我が弟は中々絵になる。そう考えながら、Aは満足そうに微笑み、頷く。そういうことを聞いているのではないと思うが。
「弟の成長を感じて、姉は嬉しいよ。」
「…本当に思ってる?」
「もちろん。」
ふーん、とまだ不機嫌であるとアピールしている彼。しかし、少し耳が赤くなっていた。弟とは単純なものである。
「おまたせ!」
「おまたせしました!」
大きな音を立てながら、昇降口に駆け下りてきた円堂。木野も後ろから追いついてきたようだ。
「さ、帰ろっか。」
Aがそう言い、歩き出した。他の者も返事をして追従する。校舎の人気は既に疎らになる刻限のことであった。
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作者名：茶太郎くん | 作成日時：2018年7月14日 0時
