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そんな彼らの会話にAが、ふと軽やかな笑いをこぼす。
「ちょっと、姉さん。」
「あははっ、ごめんごめん。」
弟が咎めるような視線と声色でAを呼んだ。
笑いが収まった彼女は、円堂達をその美しい
「やっぱり面白いね、君。」
「？」
と言った。円堂達はそんな彼女の笑みに感嘆しながらも、思考が追い付かない、と言うより理解出来ないという不思議そうな顔をしている。
「いや、私ね、あの時職員室に丁度いたの。
そこで、君の事見たことがあってね。」
「あの日、楽しそうだったのはそれが理由?」
「そうなの!面白い子が入学したなーって。」
無邪気に感想を述べる彼女。どうやら、円堂がサッカー部の入部届けを提出しに行った日の事を言っているらしい。
確かに、顧問の冬海に嘆願する姿は周りからの憐れみや、笑いを誘うものだったかもしれない。当の本人は全く意に介さずにいるようだが。
しかし彼女はその類いの笑みではなく、ただ純粋な興味が滲み出た笑みを浮かべていた。
「よくわかんないけど、俺の事知ってくれてたってことだよな。…あ、ですよね!」
使い慣れていないのか、敬語が覚束無い円堂。今度は弟も一緒に思わず笑みをこぼす。
「いいよ、敬語じゃなくても。俺、別に気にしないから。」
「ほら、私達も円堂の事守って呼ぶし。」
「え、いいのか?」
二人の提案に、円堂はおずおずと確認を取る。黒檀のの姉弟は顔を見合わせた後、にっこりと笑いながら「もちろん!」と、息の合った返事をした。
「二人とも、ありがとな!」
「さ、そろそろ取り掛かろうよ。春といえど、まだ日は短いんだから。」
「おう！」
春の麗らかな陽気。木漏れ日の合間を縫って吹き抜ける春風に心地良さを感じながら、四人は動き出した。
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作者名：茶太郎くん | 作成日時：2018年7月14日 0時
