1.部室前 ページ3
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「うし!やるか!!」
「うん! 今日も頑張ろうね、円堂くん!」
円堂達がサッカー部を再設して数日後。
入口付近は粗方片付き、床が見える様になったが、まだまだ部室内のガラクタの山は無くなりそうにない。
しかし、まずはまともに活動の出来る部室にしなければ部活動は始められない。円堂達は本日も掃除に取り掛かろうとしていた。
「危な〜い!!」
袖を捲り気合いを入れていると突然、後方から聞こえた叫び声。反射的に後ろを振り返ると、勢い良く綺麗な弧を描き飛んでくる見慣れたシルエット。
盛大にボールと皮膚のぶつかる音が辺りに響いた。
ぶつかったのは円堂の手のひら。ゴールキーパーの性であろうか、思わずキャッチしてしまったようだ。
「った〜!!」
「大丈夫?円堂くん」
「おう!」
「君〜!!大丈夫〜?!」
こちらを心配する木野の言葉に元気よく無事を伝えていると、叫びながら向こうから走り寄ってくる二人分の姿が見えた。どうやら彼女達どちらかのボールらしい。
「本当にごめんね?! 怪我、ない?」
「大丈夫だ!」
「良かった〜…」
と言い、ほっと息をつく綺麗な黒髪の彼女。
その後からひょっこりと顔を覗かせてきたのは同じく、男にしては長めの黒髪のイケメン。
「姉さん飛ばしすぎ。」
「今のは奏太のボールでしょ。」
「あれ?」
どうやらこの二人は姉弟らしい。会話のテンポの良さからして仲が良さそうだ。それにしても顔がいい。そしてこのボールは弟という弟の方のものらしい。
「すっげえな!今のボール!ビリビリきたぜ!」
「ありがと。君たちサッカー…部?」
「おう!」
「といっても、まだ私達しかいないし、部室もまだなんですけどね…。」
興奮した様子でボールの感想を述べている円堂とは反対に、苦笑し答える木野。
「あ、今ウワサのやつね。」
「え?」
「いや、なんでもないよ。」
姉は少し考える素振りを見せた後、目を弓なりに細め、口角を上げながら言った。
「ねぇ、片付けお手伝いさせてくれない？」
と。
この時の彼女の顔はさながら悪魔の様であったと後に弟は語るのであった。
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作者名：茶太郎くん | 作成日時：2018年7月14日 0時
