14.部室内 ページ16
──そして再び、春が来た。
「さぁ!練習だ!」
放課後、ユニフォーム姿でボールを構え、円堂はそう言った。
少し、いやかなり狭い部室には7人の男子。
ユニフォームに着替えている者もいれば、制服のままの者もいる。そして、ユニフォームに着替えているは良いものの、全く練習を始める気配もない。制服姿の者に至っては寛ぐ様に椅子に座っている。もちろん着替える素振りはない。
「さあ!練習…って」
円堂はめげずにそんな彼らに声をかけた。しかし、全く練習を始める気配もない。各々に好きな事、ゲームに漫画やお菓子、一番小柄な彼に至っては、少林寺拳法をはじめている。なぜ、サッカー部の部室でやるのか不思議である。
「どうしたどうした?もうずーっと練習していないんだぞ?」
「グラウンド、借りられたのかよ?」
強面の顔に桃色の髪をしたアンバランスな彼が、気だるげにそう言った。円堂は少し言葉に詰まったように、
「これからまた、ラグビー部に交渉して…」
と言うも、
「だと思った。」
「どーせ笑いもんになるだけでやんすよ。」
「8人ぽっちならテニスコートでも十分だろって。」
制服姿で漫画を読む彼、熱心にゲームをする彼、その画面を横から覗いている彼の順に、円堂の言葉を遮った。漫画を読んでいる彼は、グラウンドが空いている日でいいのでは？と言う。
「そうそう。」
「空いたことないけど。」
と、お菓子を食べている恰幅の良い彼と少林寺拳法をしている小柄な彼も同調した。そのチームメイトのやる気のない反応に、円堂は肩を震わせ、顔を真っ赤にして憤慨した。
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作者名：茶太郎くん | 作成日時：2018年7月14日 0時
