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「すじこ、高菜」
真正面からまっすぐとAを見つめる狗巻の目には、強い意志が宿っている。
助ける、と彼は言う。
自分の身を削る作戦には二つ返事で頷くくせに、顔も知らない他人が危険なままでは頷けないと言う。
ぽかん、と呆気に取られているAを見て、真希はニヤリと笑った。
「残念だったな。 あいつらもちゃんと助かる作戦じゃねえと無理だってさ」
「…そう、ねえ」
誤算だった、とAは思う。
ここに来る前、Aは五条に勧誘されたときに、「呪術師は皆イカれている」と聞いていた。
だが正直、このクラスに来た時はイカれた人なんて一人もいないとさえAは思っていた。
「…わかったわ。 じゃあ、狗巻くんが呪言で剥がして、真希ちゃんとパンダくんで潰してちょうだい。 それで、乙骨くんが中の人を助けるのでどう? 乙骨くん、そんなに可愛らしいガールフレンドを連れてるんだもん。 呪いへの耐性もあるでしょう?」
「何で知って…!?」
驚く乙骨には微笑みだけで返して、Aは確認するように真希たちを見る。
「りょーかい」
「おう」
「しゃけ!」
「わ、分かった! 頑張るね」
その視線に、真希、パンダ、狗巻、乙骨は順に迷いなき返事を返す。
「そう、じゃあいきましょうか」
言って、Aはスカートのポケットから、小さなその手には余るくらいの大きさをした金属の塊を取り出した。
「後ろを向いて、目を瞑っていてね。 合図をしたらすぐ振り返って、見えてる範囲の3分の1くらいだけ剥がして」
「僕はどうしたらいいかな?」
「乙骨くんは心の準備をしておいてちょうだい。 タイミングを見て、放り込むから〜」
「放り込…えっ!?」
乙骨の反応を待たずして、Aは何かを外してから、その金属の塊を呪霊めがけて放り投げた。
乙骨が慌てて目を瞑った直後、無数の呪霊の目の前で激しい閃光が迸る。
突然の眩い光に、呪霊達が揃ってその目を閉じた瞬間。
「――
ぱちり、と呪霊達が視界を取り戻す前に、Aが目を開く。
「今よ、狗巻くん」
そのAの言葉に、すぐに反応した狗巻が振り返ると、視界に映るのはあれだけギョロギョロとむき出しになっていた目が全て閉じられた状態で固まっている姿だった。
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カナデ(プロフ) - 頭のイカレた美女が大好きです!!!更新待ってます! (2022年10月29日 23時) (レス) @page30 id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ポチ | 作成日時:2021年3月16日 22時