肆拾【赤に包まれて】 ページ40
≪あ、結局
「汚すわけにはいかないでしょ」
≪そこはAが気を付ければ良いんじゃない？ 真昼はあんまり服汚したことなかったよ≫
「煩いわね」
わざとらしく会話の中にその名前を挟む鬼を咎めつつ、着物の帯を緩める。
時刻は午後七時くらいだろうか。すっかり暗くなった辺りを見渡すと、人影の少ない、田んぼばかり続く田舎の景色が広がっていた。
蝶屋敷を出てから数時間程はいくつかの列車を利用して南東を目指していたが、ここからは走った方が早そうだということでついさっき列車を下りたばかりだった。
ちなみに、列車賃なんてものは持っていなかったので、道中は屋外のオープンシートを利用させてもらっていた。言い換えれば、屋根の上で無賃乗車したともいう。
人の気配がないのをいいことに、草陰に隠れてさっさと着替えて荷物をまとめていると、ふと懐かしい記憶が蘇る。
…そういえば、前にもグレン達とこんなことあったな、なんて。
≪あの時はぎゃあぎゃあ騒ぐ美十が煩かったよねぇ〜≫
「勝手に割り込まないでくれるかしら…」
鬼が口を開くだけでどうしてここまで不快になるのか。そんなことを思いながら、目的の方角へと駆けだした。
◇ ◇ ◇ ◇
お館様の屋敷から南東の方角には、小さな村が点在している地域がある。
今回連続して襲われているのはその辺りらしいが、胡蝶がくれた×印の散らばった地図を見る限り、この鬼の行動範囲は広く、次襲われる村の予想を立てるのは難しそうだ。
≪だからまずは、巣を潰すって？≫
「ええ。 鬼は、昼間は行動出来ないんでしょう。 ならきっと、昼間に過ごしている場所がどこかにあるはずよ」
≪ふーん。 ボクはそれよりも、あの集落に行った方がいいと思うけどなぁ。 通り道にあるんでしょ？≫
鬼が指す、あの集落――もとい、数週間前にお世話になった集落は、
確かに通り道にあるけれど、鬼に襲われた村からは少し離れすぎている。もしここまで鬼が来るのだとしたら、あまりにも活動範囲が広すぎて巣探しが困難になってしまう。
そういう意味でも、雲祢村はないだろうと思いつつ、無視すると鬼が煩いせいで行く道すがら様子だけ見ておこうとしたのが、間違いだったのかもしれない。
「…なに、これ…」
数週間ぶりに訪れた地は、燃え盛る炎に包まれ、一面真っ赤に染まっていた。
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ポチ(プロフ) - にゃけいさん» コメントありがとうございます！ ああぁ、すみません…おばあさまは、残念ながら…もう、もう…！ 泣いていただけて作者もおばあさまも喜んでおります、ありがとうございます｡ﾟ(ﾟ´///`ﾟ)ﾟ｡ (2021年4月14日 0時) (
レス) id: fa11ea0a31 (このIDを非表示/違反報告)
にゃけい - お祖母様がｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞ 泣いちゃったじゃんかあああ〜 (2021年4月12日 0時) (レス) id: 6b9d02d201 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ(プロフ) - 海月さん» コメントありがとうございます！ わぁああありがとうございます…!!私も両作品大好きなので、これからも応援していただけるようコツコツ更新頑張りますね！温かいお言葉が何よりの活力です、ありがとうございます！ (2021年4月9日 21時) (レス) id: fa11ea0a31 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - コメント失礼します！終わセラと鬼滅どっちも好きなんですよね！だからこの作品とても素敵です！好きです！いつまでも応援してます！更新頑張ってください！ (2021年3月23日 23時) (レス) id: 35dd37fd2f (このIDを非表示/違反報告)
ポチ(プロフ) - 柊姉妹尊い！さん» コメントありがとうございます！遅くなって申し訳ありません…。ゆっくり更新していきますね！大変長らくお待たせいたしましたm(__)m (2021年3月10日 19時) (レス) id: d4a5824d33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポチ | 作成日時：2020年5月13日 0時
