肆【鬼と、異形と、決着】 ページ4
その言葉に首を傾げていると、先程この異形が跳び出してきた草影あたりに新たな人の気配が増えた。
ちらりとそちらを見れば、数秒とはいえ自分から気が逸れたのを感じた異形の口角がニヤリと吊り上がる。
「死ねぇ！！」
ついさっき爆散したはずの尻尾が急速に生え、私を狙って伸びてくる。
避けても良いが、あまりにも聞き分けがない異形に苛立って殺気とともに腰に差していた刀を抜く。
そして、一振りで尻尾と両足を含む下半身を切り落とした。
「二つ目の質問よ。 さっきの人間、とやらについて教えなさい」
「く、くそっ！」
悔し気に異形が顔を歪める。すると、今切り落としたはずの鬼の下半身が、ひとりでに立ち上がり、動き始めた。
「ええ、なにこれ。 まるで吸血鬼じゃない」
「死ね、死ね！ 人間！ 食ってやる！！」
上半身は変わらず押さえつけていたが、それももう無意味と判断して異形の上から飛び退く。
直後、私に向かってくる下半身と、体勢を立て直して腕の力だけで地面から跳びかかろうとする上半身が私の前後を挟み撃ちにした。
「終わりだぁああ！！！」
「…
≪はあい≫
“鬼”の名前を呼べば、急激に力が増幅するのがわかる。
身体が強化され、もともと遅いと感じていた異形の動きはもはや止まって見えるようだ。
口からはよだれをまき散らし、白目をひん剥いて、血管の浮き出た手を振りかざそうとするその姿。
「…吸血鬼と比べると、あまりにも品がないわね」
言い終わるころには、地面にはつい数秒前までは形を保っていたはずの異形がバラバラになって散らばっていた。
体から切り離された部分も独立して動かせるのなら、爆発させてさらに細かくしようと呪符を取り出した瞬間、地面に散らばっていた部位がサラサラと灰のようなものに変わって崩れていく。
「あら。 さっきは動いたのに」
≪急所があったんだろうねえ≫
「ふうん…まあ死んだのなら問題ないわね。 鬼呪装備って、こんなよく分からない生き物にも効くのね」
≪不思議だねえ。 でも死に方はまるで吸血鬼みたいだ≫
「そうね。 まあ吸血鬼と比べると随分と卑俗だったけれど」
≪あはは。 言うねえ≫
「ところで、あそこにいた人は」
もうすっかり灰に変わって風に飛ばされていった異形を尻目に、草陰の方を向いた。
≪Aがのんびりしてるから、逃げられちゃったね≫
が、そこにはもう誰もいなかった。
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ポチ(プロフ) - にゃけいさん» コメントありがとうございます！ ああぁ、すみません…おばあさまは、残念ながら…もう、もう…！ 泣いていただけて作者もおばあさまも喜んでおります、ありがとうございます｡ﾟ(ﾟ´///`ﾟ)ﾟ｡ (2021年4月14日 0時) (
レス) id: fa11ea0a31 (このIDを非表示/違反報告)
にゃけい - お祖母様がｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞｱﾞ 泣いちゃったじゃんかあああ〜 (2021年4月12日 0時) (レス) id: 6b9d02d201 (このIDを非表示/違反報告)
ポチ(プロフ) - 海月さん» コメントありがとうございます！ わぁああありがとうございます…!!私も両作品大好きなので、これからも応援していただけるようコツコツ更新頑張りますね！温かいお言葉が何よりの活力です、ありがとうございます！ (2021年4月9日 21時) (レス) id: fa11ea0a31 (このIDを非表示/違反報告)
海月(プロフ) - コメント失礼します！終わセラと鬼滅どっちも好きなんですよね！だからこの作品とても素敵です！好きです！いつまでも応援してます！更新頑張ってください！ (2021年3月23日 23時) (レス) id: 35dd37fd2f (このIDを非表示/違反報告)
ポチ(プロフ) - 柊姉妹尊い！さん» コメントありがとうございます！遅くなって申し訳ありません…。ゆっくり更新していきますね！大変長らくお待たせいたしましたm(__)m (2021年3月10日 19時) (レス) id: d4a5824d33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ポチ | 作成日時：2020年5月13日 0時
