思い出の場所:: エンマ大王△ ページ1
俺の愛しいやつ。妻となっていたあいつは遠い遠い空へと旅だった。
『エンマ』
「……A」
俺を呼ぶあの声を二度と聞くことはできない。
『好きだよ』
目を閉じると脳に響くAの声。
『あなたは私のそばにずっといてくれる?』
『もちろんだろ』
『あ、あのさぁ、もし……その私に命が宿ったら……嬉しい?』
『Aと俺の子どもか?』
『も、もしだよ……できたら嬉しい?』
『あったりまえだろ!!俺の大好きなAの子だ。ところで、どうしてそんなこと聞くんだ?』
『……なんでもない///』
もじもじして髪をクルクルして顔を赤くしながら俺を見てくる。
そんな彼女はもう二度と俺の目の前に現れない。見ることができない。
あの声を聞くことができない。
「A、俺はずっと……お前を……」
そういえば、どうしてあんなこと聞いたんだろうな。もしかしたら、俺との子ができてたのか?
「それも知らされずに……それも知らずに俺はAを失った」
病気ということを俺は知らなかった。
Aは俺に言わなかった。
ぬらりにも言わなかった。
「……大王様、ここにいたんですね」
「ぬらりか」
俺はAと最後に来た場所へ毎日時間があるとき来ていた。
「花畑が綺麗だな。A、お前はこの花がいいって言ってたな」
『見て見て、エンマ!この花とっても綺麗!私、この花畑気に入った!また来ようね!』
もう、自分の足で歩けなかったA。幸いにも妖怪だったため浮いて移動していたため俺は歩けなかったことも知らなかった。どうして浮いていたのか聞いたが教えてくれなかった。
『ああ。A、またここに来て一緒に過ごそうな』
『うん!』
Aとの思い出を振り返るたび涙が溢れてきた。
「大王様……」
「俺は……ッ……俺はなにもできなかった!病気のAになにもできなかった!知らなかった!!」
「……大王様」
「ぬらり……今は一人にしてくれ」
「大王様、悔やんでも仕方ありません。A様はもう………もういないんです!」
「……っ!!!」
「今は一人でそうなっていることはいいと思います。ですが長いことそうやって悔やんでなにもできなくなるのはやめてください。A様はそれを望んでいません」
「そうだな。でも今は気持ちの整理をさせてくれ」
「分かりました」
A、お前はこれからずっと俺や妖怪達を見守っていてくれ。
Fin
51人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アロア(プロフ) - 愛鬼さん» 大丈夫ですよ〜♪♪更新は人それぞれのスピードですから(*^▽^*) (2018年6月9日 13時) (レス) id: dbf84190b2 (このIDを非表示/違反報告)
愛鬼 - 最近サボってごめんなさい。 (2018年6月9日 12時) (レス) id: 5abad0e674 (このIDを非表示/違反報告)
アロア(プロフ) - 狼の歌姫さん» 五月ですね!ありがとうございます!! (2018年4月6日 21時) (レス) id: dbf84190b2 (このIDを非表示/違反報告)
狼の歌姫(プロフ) - 大丈夫です。頑張ってください。 (2018年4月6日 21時) (レス) id: aaa26940b9 (このIDを非表示/違反報告)
アロア(プロフ) - 狼の歌姫さん» 分かりました(*^▽^*)質問いいですか?四月の月イベではなく五月ですよね……?すみません!理解力がなくて!! (2018年4月6日 21時) (レス) id: dbf84190b2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アロア | 作成日時:2018年1月2日 16時