空六日目 ページ6
「うー、体幹だる……」
隣でそう零すのは、例の幼馴染みである。
私達は同じ部活なのだ。それも運動系の。
小学生の頃からやってきたという理由で決めた部活。
そして今は、顧問の受け持つ教室で体幹トレーニング中だ。
「てか体幹って意味あんのかな？意味なくないうぉううぉう」
「黙れシュートフォームぐらぐら野郎が」
「え刺さったよ？グサって聞こえたよ？」
「こら、そこ私語しなーい」
先輩に注意され、お前のせいだと幼馴染みを睨みつける。
「一旦休憩にしようか……っと」
ピピっと鳴ったタイマーを止め、先輩がそう言った瞬間に教室内の空気がだらける。
「ふー……ん？」
皆と同じように床に寝そべっていた彼女が、突然わたしのもとに来る。
「ちょっとこっち来て！」
「いやなに、」
グイッと引っ張って行かれたのは窓際。
「こんなとこで何しようっての……」
「はい、ここ寝そべって！」
またしても押しの強い彼女に根負けし、その場に寝転ぶ。
「……え」
窓の外を見た瞬間、呆気にとられて口がぽかんと開いた。
わたしの顔があるのはベランダに出るドアの前なのだが、そのドアには下半分が水色がかった不透明の厚いガラスになっている。
つまり、三階であることも相まって建物が全く見えないのだ。
これはまるで……
「この教室だけ空に浮いてるみたいでしょ！」
得意げに鼻をこする彼女は無視して、空をじっと眺める。
悔しいけど、とても綺麗だ。
夏の終わりという感じのするもくもくした雲、透き通るような青空。
また負けたな。
「また勝ったー！」
ぴょんぴょんと飛び跳ねる彼女に、わたしが勝てる日は来るのだろうか。
……いや、違う。
「わたしが勝つまで続くからね！」
「お、じゃあそれまでは死ねないね〜」
そっちも勝手に死なないでよと口をとがらす彼女に勝手に殺すなとげんこつをお見舞いしておいた。
わたしには、まだまだ生きる理由があるのだ。
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ねこる。 - えるさん» コメントありがとうございます！わたしの小説で心が透明になるだなんて嬉しい限りです…。もっと色々な表現ができるよう頑張ります！ (2021年10月26日 7時) (
レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - まめふなさん» ありがとうございます！レス遅れてすみません…。お話素敵って言ってもらえて嬉しいです！頑張ってラストまで書きます！ (2021年10月26日 7時) (レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
える - なんか単純に綺麗って言葉が出てきました。空の美しい描写、主人公さんたちの感情表現の書き方が綺麗だと思いました。このお話を読んでる間は心が透明になってる感じでした。作者様の書き方尊敬致します。 (2021年10月17日 7時) (レス) @page27 id: cbb903ca6b (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - 丙ののののさん» コメントありがとうございます！空の描写はめちゃめちゃ時間かけたので、そう言ってもらえると嬉しいです…。今後も感激してもらえるよう頑張ります！ (2021年8月16日 8時) (レス) id: 035a026afe (このIDを非表示/違反報告)
丙のののの(プロフ) - 1話目を読み終えたところなのですが…これは…空の描写が美しすぎますね…！くどくないのに美しい情景が伝わる描写…占ツクで初めて見つけました。感激！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 4482ed7f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねこる。 | 作成日時：2020年6月5日 8時
