空二十二日目 ページ22
「そろそろかな……？」
スマホを起動すると、5:30と表示されている。
「お待たせ！」
声がして、ふっと視線を上げる。
するとそこには、にごうさんがいた。
姉さんとはお姉さんのお友達だけど、それだと長すぎると思い、お姉さん二号なのでにごうさんと呼ばせてもらっている。
「ごめんね、待った？」
「ううん。今来たところ」
そう答えると、安堵したようにふわっと微笑むにごうさん。
そう。今日は、2人で出かける約束をしているのだ。
家から徒歩15分ほどのところにある公園が天国のようだと話したら、にごうさんも行きたいと言い出して、とんとん拍子に話がまとまってしまった。
なによりにごうさんはまだ歩くのが少し覚束ないらしく、リハビリも兼ねたいとのことらしい。
お医者さんからもよく出かけるように言われていると言うので、少し緊張するものの誘いに乗ることにしたのだ。
「じゃ、とりあえず向かいましょうか」
そんな訳で、にごうさんの調子を伺いつつ歩き出した。
「着いた……！」
にごうさんは、嬉しそうに顔を輝かせる。
あまり外で普通に歩くことがなかったので、ここまで来られて嬉しいんだろう。
「無理はしないでくださいね……」
ぴょんぴょんと跳ねるにごうさんに苦笑しつつ、わたしたちは公園の中へと入っていった。
「……うわ、綺麗」
第一声がこれになってしまうほどに、そこは美しかった。
さらさらと小川が流れ、花びらは朝露に濡れている。
そして森全体が、木の間から漏れる木漏れ日を受け、光り輝いていたのだ。
差し込む日からはまるで、天使が降りて来そうだと。
冗談じゃなく、本気でそう思った。
「あ、見て、可愛い鳥がいる」
お姉さんが指で示す先の枝には、小さくて丸っこいフォルムの鳥が何羽かとまっていた。
それを見たお姉さんは、首から下げていたカメラを構える。
その時、一瞬。
長い睫毛が、日を浴びて薄い茶色になっているさらさらの髪が。
全く似ていないはずのお姉さんと、重なってしまった。
「……い、おーい。どうしたの？」
「……っ」
気がつけば、彼女はわたしの顔を覗き込んでいた。
……改めて見ると、やはり似ていない。
「いえ、何でもないです！」
わたしはそう答えると、自分も例のかわいらしい鳥をフィルムに収めるのだった。
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ねこる。 - えるさん» コメントありがとうございます！わたしの小説で心が透明になるだなんて嬉しい限りです…。もっと色々な表現ができるよう頑張ります！ (2021年10月26日 7時) (
レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - まめふなさん» ありがとうございます！レス遅れてすみません…。お話素敵って言ってもらえて嬉しいです！頑張ってラストまで書きます！ (2021年10月26日 7時) (レス) id: b433a40741 (このIDを非表示/違反報告)
える - なんか単純に綺麗って言葉が出てきました。空の美しい描写、主人公さんたちの感情表現の書き方が綺麗だと思いました。このお話を読んでる間は心が透明になってる感じでした。作者様の書き方尊敬致します。 (2021年10月17日 7時) (レス) @page27 id: cbb903ca6b (このIDを非表示/違反報告)
ねこる。 - 丙ののののさん» コメントありがとうございます！空の描写はめちゃめちゃ時間かけたので、そう言ってもらえると嬉しいです…。今後も感激してもらえるよう頑張ります！ (2021年8月16日 8時) (レス) id: 035a026afe (このIDを非表示/違反報告)
丙のののの(プロフ) - 1話目を読み終えたところなのですが…これは…空の描写が美しすぎますね…！くどくないのに美しい情景が伝わる描写…占ツクで初めて見つけました。感激！ (2021年8月15日 22時) (レス) id: 4482ed7f20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねこる。 | 作成日時：2020年6月5日 8時
